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特別編〜スタイリストが提案するアートの飾り方〜<その3;上級者編:意表を突くスタイリング>
スタイリストが提案するアートの飾り方 その3 <上級者編:意表を突くスタイリング>
キース・ヘリング「アポカリプス 1」
キース・ヘリング「アポカリプス 1」
キース・ヘリングというと初期の「ハイハイする赤ちゃん」のような、楽しくて元気が出る絵という印象がありますが、最後の審判を題材にしたこちらの「アポカリプス 1」は、それとは一味違った、大人っぽさを持った作品ですね。グラフィティと一緒にモナリザの柄がコラージュされている組み合わせも渋い。いっそ、額縁もルネサンスを思わせるゴージャスな金縁を合わせてみてはいかがでしょう。またモダンなインテリアと一緒にアンティークな家具を合わせた部屋に掛けたら、ぐっと映えそうです。『アポカリプス』はもともと10枚からなるシリーズもので、この作品(左図版)以外の各絵柄でも、ルネサンス絵画のモチーフがその中に使われているとのことですが、せっかくなのでその組み合わせを部屋のスタイリングにも生かしたい。シンプルに飾るよりちょっと遊んでみると、より一層この絵の楽しさが増すと思います。
長山智美さんプロフィール
長山智美さん
プロフィール
インテリアスタイリスト。最近「ドマーニ」(小学館刊)という女性誌にアーティストが手がけたインテリアを紹介するコラムの連載をはじめました。インテリア空間の中のアートだけでなく、インテリアとしてのアートも提案して行きたいと思っています。
クリストの「包まれたオートバイ,ハーレー・ダヴィッドソン」は、車好き、あるいはバイク好きな男の人のお家に飾ってあるところを想像します。ガレージっぽい室内、よく使い込まれた皮のソファー、そんなワイルドな雰囲気の部屋にラフに飾ってあったら、この絵の格好良さも倍増しそう。フレームもシンプルな白木などより、もう一段趣向を凝らして、たとえばブリキで出来た額にしてみるとか、大胆なくらいのコーディネイトを試してみたくなります。絵だけで十分に見ごたえがある作品ですが、掛け方が変わると、また見え方も全然変わります。
ジェフ・クーンズ 「カット アウト」
クリスト「包まれたオートバイ,ハーレー・ダヴィッドソン」
クリスト「包まれたオートバイ,ハーレー・ダヴィッドソン」
サム・フランシス 「無題(L.211)」
サム・フランシスの絵の魅力は、見る人によってさまざまな解釈ができることですね。それだけスタイリングのバリエーションが考えられる、ということでもあります。たとえば「無題(L.211)」の場合、水墨画のように和室の床の間に掛け軸の代わりとして飾って、その前に竹の花器を置いて、ちょっと野草を挿す。そんな組み合わせも素敵に違いありません。そんな空間でお茶をいただいてみたい。また、まったく違った絵の見方で、「勢いよく爆発している絵だ」と感じる方もいるかもしれません。ならばスタイリングの発想も変えて、ちょっとガレージっぽい空間の中で、ミリタリーもののアイテムと合わせてサム・フランシスの絵画を飾る、などというアイデアも良いのではないでしょうか。この絵の前に、ミサイルっぽい小物を置いてみる。アバンギャルドですが、きっとよく合うと思いますよ。
リチャード・タトルの「ANY TWO POINTS(どんな二つの点も)VI」が持つミニマルさは、意表を突いて飾るスタイリングこそ、その醍醐味が楽しめるのではないでしょうか。一見すると何もかかっていないと思いきや、ふと気づくと広い壁の隅っこにさりげなくこの赤い点が置かれていたら、きっとセンスの良さを感じさせるはず。壁が広く空いていたら、大きな絵をその真ん中に掛けようという発想になりがち。でも、あえてそこに小さくてミニマルな絵を、しかも真ん中ではなくて端っこにポツンと置く。そのミスマッチがかえって空間を効果的に見せてくれると思います。    
ジェフ・クーンズ 「カット アウト」
リチャード・タトル 「ANY TWO POINTS(どんな二つの点も)VI」