小山登美夫's Voice
“小山登美夫 × 蜷川実花” の実現
作品はずっと見ていたけど、まさかゲイサイで会うとは
僕が初めて蜷川さんに出会ったのは、ゲイサイ#03のときだね。もう、4年も前になるかな。蜷川さんが審査員で呼ばれてて、会場でばったり出会った。そのときに作品をいろいろ見せてもらった。見た後、すぐに「うちでやりましょう」って話になったんです。それまで蜷川さんはNADiffやROCKET、パルコミュージアムで展覧会をしていて、人気も高かったけど、作品の取り扱いは小山登美夫ギャラリーが初めて。もちろん僕は作品をずっと見ていたけど、まさかゲイサイで会うとは思ってもいなかった。

自分の考えをしっかり持った、はっきりとした人
よく“ガーリー・フォト”って言われるけど、実際に会うと男っぽくてストレートで、さっぱりとしている。
もちろん、女性としてのかわいらしさもあるんだけれど、不思議っぽい感じとかはなくて、自分の趣味や考えをしっかり持っている。そしてそれをきちんと口に出して言える、はっきりした人ですね。
作品にもそういうところ、表れているし。あと、すっごく仕事が好きなんだよね。僕は撮ってる最中の蜷川さんは見たことないけれど、アシスタントさんなんかによると、すごく中に入り込むらしいよ。写真を撮ってるときが一番楽しいんだって。
蜷川さんは周りにあるもの、そこにいて、見たものを撮っている
蜷川さんを面白いなって思ったのは、金魚とか、花とか、ずっと撮り続けているけれど、彼女の周りにあるものを撮っているところ。起こってることを撮ってるんじゃなくて、普通に見えているもの、たたずんでいるもの、そばにあるものを撮ってる。それは、蜷川さんがそこにいて、見たものなんだよね。
小山登美夫ギャラリーで取り扱いたかった理由
僕はそういうのが欲しかった。クールさや、距離感がはっきりした”乾いた”感じの作品は他の写真家にもいっぱいあると思うけど、そうじゃなくて、積極的で生き生きとした感じのものが欲しかった。写真ってすごくクリティカルな作業でしょ?でも蜷川さんって、それにとどまらず、写真を作りだすところがある。テクニックとかじゃなくて、新しい世界観をクリエイトする。毎日のように写真を撮っているから、それはそのまま彼女の時間の蓄積で、彼女が正面から向き合った時代の記録になっていく。
写真を撮っているときのリアリティが、切実であればあるほど、素晴らしいものになっていくと思うんですよね。だから見ている方は、楽しかったり切なかったり感じる。そう思わせるのが、蜷川さんの凄いところですね。

小山登美夫ギャラリーでの展示風景
installation view at Tomio Koyama Gallery, 2004
photo: Yoshitaka Uchida / nomadic studio
(c) 2004 Mika Ninagawa


