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「7人の若手作家展」(8/4〜5)

9/21 報告第3弾

「ビューイング」関連イベント ギャラリートーク「7人の若手作家/若手アーティストの魅力に迫る」レポート 

今回は8/24の作家レポートに引き続き、第2弾をお送りします。
これからの日本のアート界をになっていくに違いない新進気鋭のアーティストたちの生の声をお聞きください。

2007.09.21
@Gallery TAGBOAT アートディレクター 広本伸幸

〜本レポートは2回に分けてお送りします。〜
第一弾は 内田文武・大槻 透・鮫島大輔

第二弾は 水野 亮・渡辺おさむ・佐原和人・篠島紗恵子

アーティストのコメント:
*当日のギャラリートークで各作家が語った内容をもとに、一部作家の補足コメントを加えて、再構成しています。

水野 亮

水野亮今回、原稿用紙や巻尺をキャンバスがわりに、生き物のようなイメージをドローイングした作品を展示しました。巻尺は目盛りと目盛りのあいだに一匹(一体)ずつ、最後まで引っ張るとサインが出てきます。原稿用紙もやはり升目という升目に絵が描きこまれています。なぜこういうものに描くのか? これらは身の回りにあるごくありきたりのものですが、その上にどんどん自分の絵が侵食して増殖していくというイメージが好きなのです。可能な限りそこをびっしり自分の絵で埋め尽くしていきたい。そしてイメージが溢れ出さんばかりになったとき世界が反転する、未知のものに変身する、そんな気がするんです。僕は社会のなかのありとあらゆる枠という枠の中を絵で埋め尽くしたいですね。また今回は新作も展示したのですがこれは立体で、彫刻と呼んでよいのか自分自身でもわからないけれど、紙のなかにおさまりきらなくなったものが3次元に飛び出てしまった、そんな感じです。この塊りはいわゆるギャラリーではなく、生活空間のなかに忍び込ませたい。先日大学の民俗資料室を使ってこの作品の展示をしたんです。引き出しのいっぱいある、資料室の陳列棚にこれをこっそりひそませておいて、誰かが開けるとあちらからもこちらからも出てくる。そんな得体の知れなさを含んだ見せ方をしたかったんです。


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作家をもっと知りたい方

渡辺おさむ

渡辺おさむ僕の場合、作品をつくる方法は、お菓子作りの要領と一緒です。クリームを絞ってスポンジ生地の上に乗せていくように、ケーキ用絞り袋に入れたモデリングペーストを絞って、キャンバス上に描いていく。僕にとっては、これが絵筆のかわり です。ひとくちに絞り袋と言っても、口金の種類はたくさんバリエーションがあって、いろいろな表現ができるんですよ。なぜこんなつくり方をするようになったか、よく聞かれますがきっかけは自分の母親がお菓子の先生で、それこそケーキやお菓子の道具は僕にとって何よりも身近な存在であったことです。だから自分の表現とはなにかと考えたとき、当たり前に存在していたそれらを使って作品をつくるという発想は、自分にとっては自然なことでした。最初は家具など、身の回りのものをケーキに変えてしまう作品をつくっていましたが、最近はもう少し抽象的な表現に向かっています。今度長野県信濃美術館で参加する企画展(10月27日〜12月16日)では、あらかじめピンクに塗った美術館の壁いっぱいに、この絞り器でロココ調の模様をその場でデコレーションする作品を発表する予定です。思えば、日本庭園に置いた灯篭をデコレーションしたりと、さまざまなモノや場所やケーキに変えてしまう作品を発表してきました。これからも自分のフェイク・クリーム・アートをいろんなところに出現させたいと思いますね。


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佐原和人

佐原和人とにかくたくさん描くんです。僕はペインティングとアニメーションを同時併行でつくっているのですが、アニメーションは一コマにつき、ペインティング一枚を描いてそれを撮影してつなげてつくっています。今日上映したのは20分のアニメでしたが、これで3200コマ、すなわち3200枚のペインティングからできています。僕が絵を本格的に描き始めたのは遅く、その前学生時代は陸上で棒高跳びをやっていました。そのせいか、自分の描きたいものが描けるようになるには、頭で考えるより、どれだけ手を動かしながら体で感じ取っていけるかではないかという気持ちが強いです。どんどん、どんどん描いていって、自分で少しだけ進むべき絵の方向が見えてくるまでやる。そう思えた最初の瞬間は、2000枚を一気に描ききったときだったと思います。絵を描くときは床にキャンバスを置いて、水気たっぷりの絵の具を刷毛につけるのですが、それで描くと、あたかもキャンバスは水たまりでいっぱいのようになるんです。乾くまで1日以上はかかります。ペインティングにせよ、アニメーションにせよ、今は自分の頭の中にあるイメージをかたっぱしから形にしていきたいですね。


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篠島紗恵子

篠島紗恵子私のこれまでの作品のなかに「一生大切にするって誓います」という作品があります。それは夫になる人(絵の中では犬の顔をしている)と私との、結婚の姿を描いたもの。当時好きだった男性と、そのときの自分の状態を形に表したいという気持ちから生まれた絵です。また別の作品では犬の首輪や鎖が登場しますが、それくらい大事にする、とか、そばに寄り添いたい、という証しのようなものが伝えたかったからだと思います。ときには嫉妬する気持ちなどもそこにはあるかもしれない。それは私は女性だから、そういう感情を持っている人だから、表したいのです。ずっと犬をモチーフに選んで描いていますが、そこには無垢さ、無邪気さ、無償で愛せる存在、罪悪感、いくつもの感情が込められています。それは犬そのものというより、愛する人、親友など身近な人がイメージされています。絵は絵、生活は生活と分けて考えることも出来なくはないかもしれない。けれども、そうしてしまうことは私にとってはかえって不安なことです。絵を描いていくなかで見つけていく自分自身もあるとは思うけれど、生活――恋愛や日々生きていくなかで知っていく社会、そういうものを頑張っていくことで、自分の絵も一緒に成長していくし、「描きたい」という気持ちになれる。だからそこに線をひくことはあえてしたくないなと思っています。


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8/24 報告第2弾

「ビューイング」関連イベント ギャラリートーク「7人の若手作家/若手アーティストの魅力に迫る」レポート 

8/3(金)、4(土)に開催させていただきました「ビューイング」イベントは、おかげさまで無事盛況のうちに終わることができました。暑い中お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました!

さて、8/4に私が司会をつとめたギャラリートーク「若手アーティストの魅力に迫る」は、私自身大変楽しく、ご参加の方からもご好評をいただきました。 作家の方たちにお話いただいた内容をまとめましたので、これから日本のアート界をになっていくに違いない新進気鋭アーティストたちの生の声をお聞きください。

また今後も、作品をじかにご覧いただけ、作家の方とも自由にお話いただける、今回のビューイングのような機会をつくっていきたいと思っています。どうぞお楽しみに!

2007.08.24
@Gallery TAGBOAT アートディレクター 広本伸幸

〜本レポートは2回に分けてお送りします。〜
第一弾は 内田文武・大槻 透・鮫島大輔
第二弾は 水野 亮・渡辺おさむ・佐原和人・篠島紗恵子

アーティストのコメント:
*当日のギャラリートークで各作家が語った内容をもとに、一部作家の補足コメントを加えて、再構成しています。

内田文武

内田文武「肌鏡に写った刹那のときを描く絵師」。ホームページではそう自己紹介しています。肌鏡というのは造語なのですが、僕が日々の生活や訪れた町の風景から受けとるのは、言葉には言い表せない、そんな「肌合い」なんです。それをどれだけそぎ落としたかたちで表現できるか。色も、カタチもできるだけシンプルにしたいと心がけています。研ぎ澄まされていくほどに、記憶に残るような気がするからです。現在のような画面構成になったのは大学で染色コースを選択したことがひとつのヒントになっています。染色というのは、生地の部分も生かすんですね。それから僕の実家の風景を思い出します。田舎は滋賀ですが本当に何もないところで、その分空がとにかく広かったんですね。そのせいか僕の作品で、どう空を切り取るかということについては意識しています。ですから僕の絵にとっては、色を乗せた部分以外の、白い余白も同様に重要な要素なのです。身近な風景から受けとるさまざまなもの――なつかしさ、やさしさ、せつなさ、甘酸っぱさなど、そういったものを写し取れたらいい。いろんなところに出かけていって、たくさんの風景と出会いたいです。


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大槻 透

大槻 透僕はずっと女性像を描いています。女性、花、鳥、猫。これらは僕にとっての好きなものたちで、そういう自分の思い入れのあるものたちを詰め込んだ絵画をつくりたいと思っています。ファッション誌も好きで、ですから自然と、女性はファッション誌に登場するモデルのように描いてしまいます。あとはキラキラしたものにも惹かれる。大学時代にイコン(キリスト教の聖像画)の授業をとったとき、金箔を使った絵画装飾について勉強したのですが、気に入って、以後、金箔を自分の絵の中でも使っています。好きなものでいっぱいにしたいのです。だから、描かれているモチーフにはすべて意味があります。たとえば今回飾っていた「うねめ」という絵。僕の出身地・福島県郡山にはうねめ祭りという、県の言い伝えにある天女物語をもとにした祭りがあります。そのシンボルの女性うねめをファッショナブルなキャラクターにして真ん中に描き、その周りに、郡山の市の花、市の鳥、観光スポット、銘菓などで埋め尽くしました。僕が描いているのはすごく私的な世界であり、ある種フェティッシュ的でもある。だけれども、好きなものじゃないと、描いていてもテンションがあがらないじゃないですか。好きなものが描きたいのです。


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鮫島大輔

鮫島大輔どこにでもある、何でもない風景。それを描きたいと思ったんですよ。何というか、ふだん生活している中で目のはじから去っていくような、そんな風景です。しかもそれを大々的にフィーチャーするというのではなく、たださりげなく、「存在を主張するわけでもなく、でも存在している」という状態で、作品にすることができないかと思った。そう考えて始めた作風のひとつがこの額縁です。ご覧のとおり、真ん中がありません(笑)。額縁だけがあって、そして額縁のところに、ちょろっと風景がペイントされている作品。それを窓にこうもたせかけて飾れば、額の真ん中からは向こうの景色が見えて、そしてその周り、目のはじに「ありふれた風景」がちらっと意識されるでしょう。さらにもうひとつずっと前から続けているのが、この球体ペインティングです。アクリル樹脂でつくった球に、360度パノラマ状に風景を描いていきます。この球に描かれているのも、普段意識もしない、どうということもない風景なわけですが、でもそんな中にも、あっ、ここ曲がり角になってる、とか、なんとなく球を回しながらそんなちょっとした発見をしてもらえたら、日常風景の面白さが追体験できるんじゃないかと思うんです。


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8/10 報告第1弾

ありそうでなかったフレンドリーにアートと接することができる場  〜タグボート「ビューイング」イベント開催〜

タグボート「ビューイング」イベント

文/安田洋平

「こういうフレンドリーなかたちでアートと接することのできる機会というのはあるようでなかなかないので貴重」。来場者から口々にこんな言葉が聞かれた。タグボートがウェブサイト を見てくださっている一般の方々をお招きして、ふだんは画像でしか見られない作品の、本物をじかに見てもらえる機会として設けた。それが「ビューイング」だ。タグボートの社屋を開放して、作品をずらりと並べた。


タグボート「ビューイング」イベント
タグボート「ビューイング」イベント

しかも今回は日本の若手作家 (渡辺おさむ・内田文武・大槻透・鮫島大輔・水野 亮・佐原和人・篠島紗恵子・・・トーキョーワンダーサイトなどで活躍しているDNAT-Discover New Artists@TAGBOAT- の作家たち)をフィーチャーしたこともあり、作品のみならずアーティスト自身が会場に常駐し、直接自作について語るという特典付き。お客さんも熱心に話に聞き入った。

大槻透

大槻透

水野 亮

水野 亮

内田文武

内田文武

渡辺おさむ

渡辺おさむ

佐原和人

佐原和人

鮫島大輔

鮫島大輔

篠島紗恵子

篠島紗恵子

 
タグボート「ビューイング」イベント

 作家の話に熱心に聞き入る来場者の皆さん。「アーティストの話を直接聞けて面白かった」

「実際に説明してもらうと、ただ絵を見ていただけのときと違って、興味の持ち方が深くなる」「モネやゴーギャンなど近代の美術は美術館で見られるけれど、“今のもの”にはどこに行ったら出会えるのだろう、と思っていたので、今回のような機会がもっとあると嬉しい」 「ウェブで見て気になっていた作家の作品をこの目で確認でき、しかも作家とも話すこともできたので、惹かれる気持ちが強くなった。1つ購入してしまいました」「今でこそギャラリーにも出かけますが、アートに興味をもちはじめた最初の頃というのはギャラリーに足を踏み入れるのはためらわれますよね。こういう中間的な場所があってくれると嬉しい」。

若いカップルから年輩のご夫婦までさまざまな人が来場され、おしゃべりしながらアートを楽しみました。

タグボート「ビューイング」イベント その場で作品制作のデモンストレーションを行った渡辺おさむさん。まるでケーキをつくるように製菓用の絞り袋でキャンバスに絵を描く。 鮫島大輔さんの額作品で切り取られた風景を前に佇む。

その場で作品制作のデモンストレーションを行った渡辺おさむさん。まるでケーキをつくるように製菓用の絞り袋でキャンバスに絵を描く。

鮫島大輔さんの額作品で切り取られた
風景を前に佇む。

タグボート「ビューイング」イベント タグボート「ビューイング」イベント タグボート「ビューイング」イベント

美術館では得られない作品やアーティストとの距離の近さや、絵を買って家に飾ることには興味があるがギャラリーは敷居が高くてちょっと・・・と躊躇していた人にありがたい気軽さが好評。自然体でアートを楽しめて、なおかつその場で購入も可能なこの「ビューイング」。8月3・4日の2日間行われ、合計で約70名の方が訪れた。和やかな雰囲気でアートを満喫できる、アットホームなこのイベントは、今後も定期的に行っていく予定とのことだ。

>>タグボート「ビューイング」イベント開催要項はこちら