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天明屋尚をよく知る人たちに聞きました 日本の若手アーティストとしての天明屋尚の魅力 市川恵一朗氏

「裏匠」

彼のポストカードを知人から受け取り、本人からポートフォリオを受け取るまで、そう時間は要さなかった。

2002年、初めて会った彼の印象は、現在の「彼」とさほど変わらない。当時、フリースペースでキュレーションをしていた私は多くの展示スケジュールを頭に入れながら、場所の運営について想いを馳せ巡らせていた。そんななかで出会った彼の作品。日本画を体系的に考えて構成しているのにも関わらず、レイアウトとモチーフの妙。場所の運営より彼の作品の魅力に頭がシフトした瞬間、ポートフォリオの作品が用意できるのか、どの作品を展示できるのか等、完全に独断で展示を決めていた。

瞬時に感じた印象は「裏匠(うらたくみ)」という造語。技巧派であるのは言うまでもないのだが、そこには陰的要素が含まれると感じた。背中で笑っている、そんなニュアンスだろうか。今でこそ、本人の思惑を越えた様々な解釈が独り歩きしているが、最大の魅力はモチーフそのもの、理屈ではなく画力である。その後、頭を過ぎる「謎かけ」的な疑問符「ん?」ってやつ。これが最大の面白みだと感じた。

希望していた「漢字具羅富異帝杉戸絵」を展示できると決まった時には、この展示は間違いなく満足できるものになると感じた。当時某雑誌にも記述したのだが、「WILD STYLE」を初めとするHIP HOP文化に影響を受けた彼が生ぬるい模倣ではない 「武闘派」として、「日本人」として、丁寧に生み出したひとつの解答を展示できたことは、漠然としたアートの拡がりに対して少しでも刺激が与えられたらという希望も含まれていた。Tシャツとグラフィックが全盛だったあのタイミングだからこそ、やりたかった。

様々な関係者にも支えられ、無事スタートした展示。それが「ネオ日本画」展だった。

日本には素晴らしいものが沢山ある。彼が「日本画(ネオ日本画)」を描いている作家だから言うのではなく、彼の精神的な部分に「武士道」を垣間見たからだ。闘う術として選んだ日本画的手法、そして己の鍛錬(技術)。どれも日本が唯一世界に誇れる文化であるのと同時に「日本から学ぶことを忘れてはいけない」というメッセージを感じずにはいられない。そう、忘れてはいけない。

ここまで書いて言うのもあれだが、文章で絵を伝える事はあまり好きではない。FIFAの作品だろうが、作品集だろうが、映画だろうが、手段は構わない。見て欲しい。世代を問わない彼の真っ直ぐな戦略にはまってみるといい。一生懸命且つ毒の効いた作品にやられてみるといい。

首を傾げながら、この駄文を読んでいる彼の顔が浮かんで仕方がない。

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