トップページ > 「マムアンちゃんは、やさしい日本でこそ、生まれたんだと思う」

「マムアンちゃんは、やさしい日本でこそ、生まれたんだと思う」
「マムアンちゃんは、やさしい日本でこそ、生まれたんだと思う」
2003年10月に来日して以来2年半、神戸を拠点に漫画、自主制作アニメ、音楽、さらには展覧会やライブまで、幅広い表現活動を展開したウィスット・ポンニミット。先月6月に、多くのファンに惜しまれつつ母国タイへと帰国されました。タグボートでは、帰国直前のポンニミットにインタビューをし、日本での制作活動や今回の出品作品のマムアンちゃんのこと、さらに今後の活動などについて伺いました。

−−では、日本に来たら頑張る人に変わっちゃった?
うん、頑張ってます(即答)。ちょっと大人になった(笑)。作品も変わった。日本人はやさしいから、作品もそうなった。
タイでは「これ、駄目」、「これ、いい」って、考え方がすごく強い。でも、日本だったらやさしい。(テーブル、カーテン、椅子などを触って)こういうもの、かわいいもの、きれいなもの、日本人は大切にする。(窓の縁をみて)すごいきれい。タイだったら虫がいる(笑)。

今回出品するマムアンちゃんは、タイでは絶対描けない。日本に来てすぐに生まれた。
僕はタイにいたとき、ずっと汚い話を描いていて、悲しい話、重い話、激しい話が多かった。音楽でいうとロックみたいな。しかもすごい考えて描いていた。たとえばおいしいものがあったら、「本当においしいのか」とか、「おいしくてもどんな意味がはいっているのか」とかすごい考えた。 マムアンちゃんは、考えるのに疲れはてて「もう考えなくていいんじゃない?」と思った時に生まれた。子供だから、悲しかったら泣いて、嬉しかったら笑って。すごいシンプル。昔はそういうもの、面白くないんじゃないか、と思ったけど、逆にピュアで、感動しちゃった。どうしてこんなに考えないの、って(笑)。やさしい日本でこそ、生まれたんだと思う。
−−いつも一緒にいる犬のマナオと友達のしたくんは、どうやって生まれたんですか?
いつもは女の子を描いたら彼氏がいるけど、マムアンちゃんは子供だから彼氏がいないでしょ、でも独りじゃ寂しいから、犬かな?って。
したくんは、マムアンちゃんと犬はかわいくて、バランスがいい。みんなかわいいと、面白くないな、って思って描いた。したくんはいつも色んな所にでているけど、メインじゃない、エキストラというか。そういう台詞がない、顔がおかしな人。そして、みんなが嫌う仕事をしている。ごみ掃除とか。ちょっと大人。でも、したくんみたいな人がいなかったら寂しい、絶対。
−−今回の出品作品は、「MELO」展で実際に展示された原画なのですが、どう思いますか。
「MELO」展の時は、展示した作品を売ることなんて考えていなかった。だから、これ、すごく珍しい。すごく、すごくいいもの。え〜、売るの、勿体ないな…。
これ、実際に見ると、後ろに下書きが描いてあったり、紙の大きさがばらばらだったり、エンピツの後とかがあって。かわいい絵だけど、かわいさよりもっとちがう部分の良さがある。その時の風景とか思い出とかが、入っている。
もともとタイでは、展覧会をやったことがなかった。タイでは展覧会そんなにしないから。だから、日本に来て、絵を描いて、展覧会をするチャンスができて、すごく新鮮だった。「MELO」展はすごく楽しかった。みんなも楽しんでくれた。もっといいもの作りたい。
――さて、ウィスットさんは漫画のみならず、アニメーション、音楽、展覧会、コンサートイベントなど随分沢山のフィールドで活躍していらっしゃいますね。
今は漫画と音楽が一番多い。
漫画一杯描くと飽きる。飽きて、音楽やりだす。で、音楽をやるときに、色んな人にあうでしょ? で、人に会いすぎて、会いすぎたらまた自分に戻りたくなる。自分が思っていることを描きたくなる、そんな感じでバランスがある。漫画だけだと1人だから、太っちゃう(笑)。
音楽と漫画以外のことやっているのは、僕は、音楽も漫画もやるけれど、一つずつだけしかリリースできないと、もったいない、と思ったから。ライブに併せてアニメーションにして漫画も見せる、そういう両方楽しめるイベントを始めました。そうしたら、音楽もできるし、絵もみせるし、漫画やアニメーションも発表できる。
――タイに帰国したら、どんなことをしたいですか。
ライブを友達とやったり…。映画館でアニメを流して、本当のバンドの人をよんで、アニメに合わせてライブとか。そんなこと、友達としたい。
あとは、絵を描きたい。一枚で意味のある絵、描きたい。大きいサイズの絵も作りたい。タイはうちが広いからできる。インクをいれて、大きなキャンバスにむかってこれもできるし(バケツをひっくり返すジェスチャー)。
日本にいるともう、日本人になっちゃう、作品が。だから環境を変えた方がいい。タイに行って、タイの影響で作品を作ったら面白そう。そのかわり、作風も変わると思う。かわいい部分はなくなるかも。僕はその場所にあるものと、その場所の影響でモノを作るから。
だからこれからも、色んな場所へいってみたいです。

(2006年5月31日 神戸にしむら珈琲店中山手本店にて)

2005年「MELO」展の様子
graf media gm(大阪)

2005年「MELO」展の様子
graf media gm(大阪)

2005年「MELO」展の様子
graf media gm(大阪)

2005年「MELO」展の様子
graf media gm(大阪)

ウィスット・ポンニミット
最新NEWS!

・書籍『タムくんとイープン』
(新潮社)

2006年7月27日(木)発売
1,365円(税込)四六判ソフトカバー240頁


「ぼくにとって、世界一優しい人たちへ」
憧れの日本に飛び込み、2年半住んで感じたことは―
「ぼくを育ててくれた日本人」に向けて、こころを込めて描きました。

ウィスット・ポンニミット HPはこちら