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インテリアに華やぎを… 東恩納裕一の艶やかな世界
販売作品ラインアップ インタビュー 展覧会風景in2006

「ファンシーという謎」カラフルで華やかな作品世界の創造主は意外にも男性だ。作品コンセプトや出品作品の「Flowers」シリーズのことについて伺い、東恩納裕一の世界に迫る。

東恩納裕一氏 アトリエにて

――ぱっと見はきれいなのに、でもどこか不穏さを秘めている。そんな作品をいつもつくられますよね。丸型蛍光灯を組み合わせてつくった、シャンデリアの作品はいつ見ても印象に残ります。
 「蛍光灯の塊でモンスターのようなものをつくりたいと思ったのです。
日本って、どこもコンビニのように蛍光灯で煌々と明るく照明されている。家でも同じ。明るくしていないと落ち着かない、というようなことを親も言います。
“明るさは豊かさ”とでも言わんばかりの過剰な明るさには強迫観念に近いものがある気がする。後で気付いたのですが、丸型蛍光灯って日本特有のものなのです。ヨーロッパやアメリカの家庭では蛍光灯はほとんど使わない」
――東恩納さんの作品には、心理の奥をえぐりだすようなところがあると感じます。
 「フロイトの『不気味なもの』というエッセイを読む機会があり、そこでフロイトは、日常に潜む不気味さを“身近にありながら疎遠なもの”と定義しています。ファンシーなものに対して、長らく自分が感じていた違和感が見事に説明されていて驚きました」
――今回、タグボートに出品される「Flowers」のシリーズはどういう作品ですか?
 「カラフルな色で、花やチェーンなどのシルエットをキャンバスに定着させた絵画です。“不気味なもの”というフロイトの言葉によって、ファンシーなもの(インテリア)へのこだわりから解放されたように感じて、新たに花をモチーフとしたわけです。 絵の具ではなく、ホームセンターで売られている缶のラッカースプレーを使っています。 缶スプレーで、ストリートに素早く描かれるグラフィティー独特のテクニックに興味を持っていました。花をモチーフにしたのは、以前から魅力を感じていた、17世紀オランダの「ヴァニタス」と呼ばれる花や髑髏を描いた静物画に倣ったものです。(※「ヴァニタス」とは現世の虚しさ、はかなさなどといった意味。暗示をこめてこの種の絵が当時たくさん描かれた)。いわゆる生花の美しさを表現した絵ではありません。シルエットを写し取るために使っているのは造花です」 
――キッチュでいて、共通した含みがありますよね。
 「ただきれいなものはすぐ忘れてしまう。アートには、ある種ネガティブな要素を含みながら、同時にそれを払拭するようなユーモアや痛快さが必要だと思います」

(2006/09/04 タグボート本社にて/インタビュアー 安田洋平)

untitled (the little match girl)

「untitled (the little match girl)」
スプレーペイント、プリント木綿、木わく 112x145.5 cm 2001

©Yuichi Higashionna
Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 
untitled (chandelier Z)

「untitled (chandelier Z)」 
ed.1/2 蛍光灯、アルミニウム、ワイヤー、結束バンド 125×110×99 cm 2005

©Yuichi Higashionna
Courtesy of YAMATO GENDAI Yumiko Chiba Associates

 

東恩納裕一プロフィール

東京生まれ。

1999年「時代の体温 Art/Domestic」(世田谷美術館)、2004年「Officina Asia」(ボローニャ近代美術館)、2006年「愉しき家」(愛知県立美術館)、「釜山ビエンナーレ ’Living Furniture’」(釜山にて開催中)をはじめとするグループ展のほか、表参道ナディッフ(2000年)、ニューヨークのIse Foundation(2002年)、現代美術ギャラリーの山本現代(2005年)などで個展。
コミッションワークとして、今年9月オープンのコム・デ・ギャルソンDover Street Market Tokyo(青山)にて壁画制作を行う。