
木版画が彫りのダイナミックさ、銅版画が幻想性を帯びたトーンの美しさだとしたら、リトグラフの魅力は、筆やクレヨンを使って描くという、絵の原点そのものを楽しめることにあるといえます。リトグラフの原理とは、平らな版のうえに油性の筆(鉛筆)で描き、描かなかった部分は水性に保ったままにするということです。油性のインクを版の上に盛って刷りますが、水性部分ははじくため、描いた絵がそのまま版画となるのです。

下絵があってそれをそのまま写真製版してつくられるものは「複製版画」と呼ばれますが、市場でアートとして価値を認められているのは、作家がじかに版に絵を描いてつくった、「オリジナル版画」です。作家が工房を訪れ、プリンターのサポートを受けながら作品を仕上げます。作家自身がプレス機を操って刷りまで行うケースもありますが、だいたい海外でアート作品として流通している版画は、作家+プリンターが組んでつくる、スタジオワークから生まれたものが主流です。

版画の良さのひとつは、作家のオリジナル作品でありながら複数つくることができ、より多くの人に所有してもらえる点であると言えるでしょう。版画や写真のアート作品はこの点からエディション・ワークと呼び習わされます(エディションとは版をつかって複数できる、の意)。ただし、希少価値という点は変わりません。複数と言っても、すべての版画や写真には固有の番号をつけて管理されていること(エディション・ナンバーと呼ぶ)、大量複製ではなく必ず限定生産と決められていること、また一点一点に作家が手書きでサインを施していること、これらが約束づけられ作品の価値の保証につながっているからです。
密着リポート 〜リトグラフ制作から海外展覧会が開催されるまで〜
2006年11月、オーストラリア・QCA Griffith Universityとの合同展覧会「MASTER GRAFIKA: The Satoru Itazu Workshop」開催。 |
作家との打ち合わせ(作品サイズ、版数・色数を決定) 。 |
アルミ版を製版。 |
アラビアゴム液を塗って、製版作業中。 |
製版インクを版に盛り込む。 |
プレスにかける。 |
刷りをチェック。 |
本刷り。 |
作品制作完了! |
展覧会会場にて。 |
制作を終えて感想や意見が飛び交い…。 |
2006年12月には、セルビア・ベオグラードにて、ワークショップも開催。 |
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