
|

 |
 |
 |
|

※1 

『Soldiers: the nineties』(1999)
ティルマンス写真集の表紙。

※2 

Andrea Rosen Gallery,New York
2003/11/1 - 12/6
Photographer: Oren Slor
cWolfgang Tillmans
|
ティルマンス、格好いいですね。
フランスのファッション雑誌「purple」からでてきたティルマンスのケイト・モスの写真がオークションで値段がついたこともあり、90年代半ばくらいからが、写真がマーケット的に認められた頃だと思う。ファッション誌からアート作品と認められたティルマンスを通して、マーケットが確実に動いているな、と感じたので、やっぱりティルマンスが欲しいな、と。
ケイト・モスは買えないけれど、そのときの予算で買えるものはなんだろう、って思っていたら。ちょうどこの「Soldier」(※1)が写真集の表紙になっていたんですよ。兵士が軍艦に入っていく様子を撮った三連作なんだけれども、1枚しか買うお金がなかったので、迷って、で、「やっぱり表紙だろう!」と。表紙一発勝負(笑)。
この「Sock」(※2)は?
ティルマンスを扱っているNYのAndrea Rosen Galleryで、ティルマンスの全ファイルを見せてもらった時に出てきた作品です。
そしたら、いきなり、靴?靴に靴下でしょ。外れてて、面白い感じがするじゃない?ユーモアがある部分が。なんか、ずれた靴下の感覚、ってあるじゃない?靴下撮ってて、すげーな、って思って(爆笑)。
簡単な話、靴にずれた靴下だろ、って。これが作品になるのって、普通は変だよね、でもそれが作品に仕上がっているのが、やっぱりティルマンスの力かな、って 。
今回、額装も格好いいですね。
ティルマンスの飾り方ってあるじゃない? スナップ写真みたいなぺらぺらの作品をそのままピンに挿して飾っているという…。それでも、「格好いいじゃん!」って思わせるところにセンスがあると思う。できるだけ実際のインスタレーションに近くしたくて、直接壁に貼ってある感じの、薄いアクリルのボックスにしました。
それに、ティルマンスは、写真が一発一発どうだというよりも、展示会場を構成する力やインスタレーションがきちっとできている。壁ごと購入する人がよくいるみたいだけどわかるよね。さすがにそれはできないけれども、小さい作品だから自分でインスタレーションしてみる楽しみがある。組み合わせを楽しんで欲しい作品です。
|
▲このページのトップへ
 |
|

※3 
|
この作品(※3)、購入した際のポイントは?
これは〜…。パンチですね。
パンチか!(笑)
まだドローイングが20万円台位で売ってた頃でした。2000年くらいかな?前からいいな、面白い作家だな、って思っていたんですね。実際自分で持とうと思って、代々木のNadiffのオープニングに行って、で…、この「パンチ!」。この男の子の表情がいいでしょ。
どこの国でもいますよね、こういう子。
そうそう! ガキの頃、僕もこんな感じだった。
カメラを見ると、「イエイ!」とか、「パンチ!」とかいって、ポーズをとらなきゃいけない、ガキの心っていうのか。そういうのが楽しくって。
顔にはピントがあってるけど、パンチはぼけてるんだよね。視線を子供に近づけて撮っている感じがして、臨場感がある。で、僕もこの子供に近づいたような気がして。この作品を見て、奈良さんて、自分から被写体に近づいていって撮影をしているんじゃないかな、って気がした。
やっぱりこの作家、面白いな、って再認識した一枚です。
|
▲このページのトップへ
 |
|

※4 

カテラン代表作「隕石にあたった法王」

現在フランクフルト・モダン・アート美術館にて個展開催中(〜07/8/7マデ)。「Untitled」。馬が壁に突っ込んでいる…。脱力です。
|
カテラン(※4)はもう、「おバカを本気でやっている!」でしょう〜。
あの有名なPOPEが隕石に当たって倒れてる作品とか、それをイタリア人なのに発表しちゃうわけでしょ?いいのか???
なるほど。
POPEが隕石に当たって倒れてることをつくるのもありえないし、それを作品として発表するのも…、すごくない???
ええ。(超笑顔の塩原氏におされ気味でした)
茶目っ気があるよね。大真面目にこんなことをやっちゃう、でもやっていることは、とてつもないことでしょ。
道徳的に?
それもあるけど、考えられないことが視覚化するでしょ。考えてはいけないことかもしれないし。それを目前にして、「やられたな」って。
僕、ピカソ好きなんですよ。バルセロナのピカソ美術館で「ローズの肖像」をみた時、もう初めて足がすくむというか、ふるえたというか…。足がとまって目が離せなくて、わっと心をつかまれたんですよ。僕に初めてそういう感覚を与えてくれた作家として、もう大好きな作家です。そのピカソが、今回の作品ではニューヨークであのボーダーのシャツを着て街歩いてて、握手でしょ?で、これも、「やられたな」と。
あれ見て、怒る人っているんでしょうかね?
いや、怒れないでしょう。怒らないところにもっていっちゃってる。「すげ〜な」って。感服したときって怒れないじゃない?ピカソの大ファンである僕でも、もう、「やられたな」って。
この作品って、どうやって楽しめばいいんでしょうか?
僕はね、最初玄関に飾ってました。握手してるんで。
なるほど。
お客さん、ウェルカムってかんじで。いらっしゃい、って。
来た人も、「お!ピカソじゃないですか!」って。大抵笑いがとれる(笑)。僕がやられたな、って思うように、他の人も思ってくれないかな…。
|
▲このページのトップへ
 |
|

※5 


第50回ヴェニス・ビエンナーレでの展示風景 広告イメージにカラフルなコラージュが施され、ポップな抽象イメージに。
|
エレン・ギャラガーは、2005年のヴェニス・ビエンナーレで見て、面白いな、と思ってて。そうしたら、たまたま別件で行ったNYの版画工房(two palm press)で、この版画を制作中のエレン・ギャラガーと会うことができたんです。工程の段階を実際に見て、いつか買いたいな、と思ったんだけれども、この作品は発売後すぐ売り切れてしまって、しばらく買うことができなかったんです。乗り遅れちゃったの。その後、2005年頃ロンドンに仕事で行ったときに会ったディーラーが、偶然その作品を購入したばかりだったから、譲ってもらったんだ。やっと手に入れた作品です(※5)。
エレン・ギャラガーは、あのガゴーシアンもついてて、今や手に入りにくい作家。オリジナルも欲しかったけれども、個人として購入できる価格ではないんだ。
でも、これはやっぱりどうしても是非欲しい、と。欲しいにしちゃ高い。手に入るのは、これしかない、と。こんなかんじの三段論法かな?(爆笑)
塩原さんがご覧になったヴェニスの展示はどんなかんじだったんですか?
洒落たかんじがしました。タイトルが「Dreams & Conflict」だったんですが、黒人女性として、という葛藤と作家としての夢…、そういった彼女の生き方が品よく昇華されている気がして。展覧会のタイトルに沿っているよね。
黒人のモデルの女性が黄色のかつらを被っている上、小さなモチーフのカットアウトがついていて、目を引く可愛らしさですね。
真っ直ぐな日本人の髪の毛と違って自由度が低い分、黒人の女性って髪の毛に対して考えることってあるのかなぁ。アフロ・アメリカンや人種問題などの機運が出てきた頃だったので、エレンやカラ・ウォーカーといった自分の立場をはっきり主張した作品がいずれアート・シーンを飾ることになるんじゃないかなと思ったんだ。
人種問題については、これまで男性が語っていることが多かったけれども、女性が自分の立場についてきっちりと話せるようになったという事もいいことだな、と思います。
|
▲このページのトップへ
タグボート・オフィシャルアドバイザー
塩原将志氏 プロフィール
ギャラリー日動ニューヨークINC.の代表を務めた後、タグボート創始時期よりアドバイザーとして参画。またnca(日動コンテンポラリーアート)でディレクターを務める傍ら自身でアートオフィスシオバラを立ち上げる。現在、年の半分以上を海外のアート現場にて費やす忙しい日々。自称・飽きっぽい性格(アートと妻は別)。