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「無題」 1969 |
1923年生まれのサム・フランシス、37年生まれのホックニー、抽象とポップ・アートを代表するこの二人とエリザベス・ペイトンを並べるのは何故か。ウォーホル以後現代の肖像画家としての地位を確立したペイトンは、英国王室の王子たちやミュージシャンなど有名人をモデルにしている点でウォーホル路線を進んでいる一方、その作品のスタイルは、抽象表現主義のブラッシュストロークと絵具の滴りを強調して、絵画性を高めている。いわば英国王室御用達の品格あるポップ・アートといえるのだ。 |
| サム・フランシス | デイヴィッド・ホックニー | エリザベス・ペイトン |
ポロックのドリッピング絵画の制作方法を継承し、抽象表現主義のカテゴリーに入れられることが多いサム・フランシスだが、1964年出版の《 1¢Life 》と題された版画集では、ウォーホル、リキテンスタイン、ジム・ダイン、ローゼンクイストといったポップ・アーティストたちと一緒に制作している。確かに絵柄は抽象的だが、色合いはポップだ。オーソドックスな抽象絵画をも取り込むエネルギーをポップ・アートは持っていたといえる。 |
「無題」 1987 |
「無題」 1969 |
フレンチショップ |
1937年生まれ、つまり今年7月9日に古希を迎えたホックニーだが、杜甫の時代の「人生七十古来稀なり」は昔の話。日本人の平均寿命男79歳、女85.8歳、「芸術は長く、人生もまた長し?」の時代の到来だ。ル・コルビュジェのシングル・ソファにジョルジュ・ブラックのデザイン?のラグ、それらの配置の絶妙なこと。この作品自体がグランドコンフォール(大いなる快適)の表現だ。家にあるソファが数万円のレプリカであっても、壁にホックニーがあれば誰が見てもレプリカには見えないんじゃないかな。 |
ALIMENTATIONは食料品店のこと、おそらくパリの小さなお店をホックニーが気に入ったのだろう。日本では今はデパ地下が食料品店の代名詞になってしまったが、成城ISHIIに通える人がうらやましい。シックなモノクロの画面だが、何と言っても構成の見事さ。何気ないスケッチのような気軽さの背景には、厳然と言っていいほどのゆるぎないコンポジションがある。インテリアにパリのくつろぎと矛盾しそうなカチッと決まる空間をもたらすだろう。カフェオレとクロワッサンが似合う、大人の朝食のお供に。 |
「エリオット」 |
ニューヨーク、チェルシーのギャラリーでちょっとした力仕事をしていた男の子がペイトンの絵のモデルにそっくりだった。聞いてみるとそうだという、名前を聞きそびれたがアーティストの卵らしい。ペイトンの作品のモデルにはそういった身近な若者たちがイギリス皇室の王子たちや、ディカプリオ、ホックニーといった有名人たちと区別なく選ばれる。このエリオットも友人の一人だろう、「公園のエリオット」と題された小品の油彩がバーゼルの現代美術館のコレクションになっている。この「エリオット」の方は、鉛筆と色鉛筆で描いた線が見事に再現されており、さりげないが存在感のある作品に仕上がっている。 |
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