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タグボート ビークル Art Begins At Home-芸術は家庭から- 廉価販売は終了いたしました。現在は、通常価格にて販売中です。

噂のアートユニット、“ザ・ビークル”

インタビュー プロフィール

現実をすっぽり覆うアート。合言葉は「芸術は家庭から」

ビークル(The Vehicle)は1996年に結成されたアートユニット。現在のメンバーは吉田剛(1970年 愛知県生まれ)と河原三紀(1973年 神奈川生まれ)の2人。きっかけはソニーミュージック・エンタテインメントが主催した公募展「大アート展」(’96)への出品である。このときに発表した家電収納表層家具「しらかば」が彼らのデビュー作となった。

「モトラマ」展 展示風景
「モトラマ」展(1999年/モリスギャラリー)のため作成したテレビ型しらかば。30台が、個展直後に完売した伝説をもつ。 ©The Vehicle
Courtesy of Yumiko Chiba Associates

インタビュー

中身は空っぽで家電としての機能性はない、見せかけだけの家具、それが「しらかば」だ。家電製品にカバーとしてすっぽり被せる。一見すると昭和ノスタルジーのようなこのシリーズが誕生したきっかけについて、ビークルは次のように語っている。

「もともとは昭和30年代の古いデザインの家具が好きで、家も当時は文化住宅のような古いアパートに住んでいたんです。けれども住宅と家具はそうした雰囲気を醸し出しつつ、しかし電化製品だけがそういうレトロな味わいを持ったものがなく、だから自分自身が欲しかった、という動機が制作の始めにはありました」

そこから「芸術は家庭から(Art Begins at Home)」という彼ら独自のコンセプトが始まる。14インチブラウン管テレビの上からすっぽり覆い被せて収納、レトロに変身させるカバーを始めとする“表層”家具の数々。ソニーの公募展では計6種類の「しらかば」がシリーズとして発表された。

全部が一個一個手づくり。そしてビークル(The Vehicle)の頭文字VをかたどったV字形のエンブレムなど、ディテールにはこだわりがある。しかし同時に呆れるくらい非実用的である。たとえばトランシーバー型携帯電話カバー。一見するとスパイ映画にでも出てきそうなクールな外見だが、使うときにはその都度パカッとケースを開いて取り出さなければ、電話ができない。一昔前の一眼レフを模した、使い捨てカメラの収納家具。こちらも中から出さなくては撮影はできない。50’sアメリカを彷彿とさせる冷蔵庫カバーにいたっては、扉すら開かない。ただしキャスターがついていて、ゴロゴロと前面に引き出すとカバーを外せます、という変な気遣いが可笑しい…)。まったくの実用無視、けれどもそんな“なんちゃってッぷり”がたまらなく愛おしい。

「本当のリアルではなく、“頭のなかにある、もう一つのリアル”を表現したいと思っています。例えば映画などで見て、自分の頭のなかに焼きついているステレオタイプな影像的現実というか。イメージと現実が織り交ざったような空間をつくりたい。ちょっと藤子・F・不二雄っぽいところがある」

「The Vehicle」とは、英語で乗り物、媒介の意味。新たに何かを創造するのではなく、そこにあるものを少しだけ価値転換してみせることで伝えられる何か、に興味があると言う。

今年1月18日からリビングデザインセンター・オゾン(新宿)で始まる個展「A LDK」では、住宅をテーマに、また彼ららしい、少しずらしたインテリアの作品達がお目見えする予定だ。たとえば出品されるうちの一点「That’s the story of him/her life」は一見すると何の変哲もない洗面台の鏡。しかしよく見ると縦横比が映画のスクリーンに合わせてカットされている。さらにその鏡の下方には、映画の台詞のような一文がプリントされている。そこに映し出される自分。その他、本展では寝具、照明、窓などがビークル流に “変換”される予定。

さらにもう一つの目玉が。この展覧会で「しらかば」の新シリーズが発表される。本格的な新作としては96年以来、約10年ぶりとなる。  「いつの間にかブラウン管テレビは液晶・薄型・ワイド時代に、使い捨てカメラはデジタルカメラへと取って代わり、携帯は一回り小さくなった。21世紀改訂版『しらかば』を今回お見せします」

ラインナップは携帯収納用トランシーバー風カバー、デジカメ収納用銀塩カメラカバー、薄型20インチワイド型テレビ用カバー、そしてipod収納用“初代ウォークマン”仕様カバーの4種類。そしてさらなる耳より情報が。展覧会では試作品のみの展示となるが、同時開催でタグボートではサイト上で人気投票を実施、人気が高かった作品は特別廉価価格にて販売を行うので、ぜひチェックしてください。

インタビュー:安田洋平

プロフィール The Vehicle

アートユニット。1996年現在のメンバーを中心に結成。ソニーミュージック・エンタテインメント主催第5回「大アート展」審査員賞受賞。
記憶や感覚をデザインする手法で家電収納表層家具しらかばシリーズ、オルフェシリーズ、ALDKシリーズなどの作品を制作している。
個展として1999年モトラマ展(モリスギャラリー/東京)、「イン・ザ・ファミリーウェイ」展(モリスギャラリー/東京)、2000年「トキヲラマ」展(現代美術製作所/東京)、2005年「How to see The Vehicle」(デスペラード/東京)2006年60mph [96キロ](H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI/東京)など。グループ展として1999年「アート・イン・リビングルーム」展出品(現代美術製作所/東京)、「2000系」展出品(グラフィックステーション/東京)2001年横浜トリエンナーレ ナウィン・ラワンチャイクン氏Newspaper企画・発行のコラボレーション。ウィーン「What‘s the difference between...?」展出展。2002年カケルフク展(リビングセンターOZONE/東京)、2006年釜山ビエンナーレ2006 The Sea Art Festival “Living furniture“ (釜山/韓国)出展。他。

吉田剛
1970年 愛知県生まれ。1998年 多摩美術大学 大学院デザイン科修了。2000年 有限会社ビークル・プラス 設立。

河原三紀
1973年 神奈川県生まれ。1996年 多摩美術大学 美術学部芸術学科卒業。2000年 有限会社ビークル・プラス 設立。

ザ・ビークルHP:
http://www.vehicle-plus.co.jp/
ザ・ビークルblog:
http://thevehicle.seesaa.net/category/148692-1.html