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2006年木村伊兵衛写真賞受賞年の受賞作シリーズがあなたの手に・・・鷹野隆大・タグボートオリジナル写真集付!期間限定販売

鷹野隆大 インタビュー

前半:コンセプトについて

後半:写真を撮るということ

「先入観とか、写真以外の情報で膨らませるんじゃなく、そこに実在している人物そのものを見て欲しかった」 コンセプトについて
--前回の写真集『In My Room』(第31回木村伊兵衛写真賞受賞)と今回タグボートのために制作いただいている写真集『in my room 6×6』のコンセプトの違いはどんなところにあるのでしょうか?
『In My Room』に比べると、『in my room 6×6』はゆるい作品を集めたものです。これまで発表してきた作品は大型カメラでかっちり撮る感じで多少窮屈さを感じていたんですが、その欲求不満を解消するために、より小型の6×6判カメラで(大型カメラの)撮影の合間にパチパチ撮っていたんです。発表するつもりはあまりなかったんですが、なんとなくずっと気になっていて。で、今回せっかくだから出してみるのもいいかなと。見た人が気に入ってくれるといいんですが(笑)。
--モデル選びの基準は何かありますか?
基本的には僕の趣味で、素敵だなとか色気を感じるなと思う人です。
--以前インタビューで「ポルノグラフィとして見てもらっても構わない」とおっしゃっていましたが。
基本的にそういう考えはずっとありますね。ポルノグラフィの変種、変型ということは常に意識しています。『tender penis』(1998〜)というシリーズがあるんですが、その頃からすでにそういった意識でやっていました。エロティックなイメージを力技で作り出すっていうやり方もありますけど、僕の場合は、被写体自身が醸し出してる色気をそのままキャッチする感じですね。
--作品に写された人たちを見ると、性別のあいまいさや境界の不確実さといった印象を受けますが、そういったものへの意識は、作品をつくる過程で得たものなのですか?
本格的に制作しはじめたきっかけが、あいまいさや不確かさに対するつまずきからだったので、撮る過程でというよりは、前提としてありました。…あいまいさってすごい大事だと思うんです。たとえば知らない人と向き合った時、その人がどんな人で、何をしているのか、どんな人生を送ってきたのかも分らないわけでしょ。でもいや応なく向き合わなければいけない時がある。そういう不安定な状態のとき、人って色々な感覚を働かせるし、結果としてかなり正確にその相手を読み取るんじゃないかと思うんです。初対面の第一印象ですね。だから写真を撮る時もなるべく新鮮な状態で撮ろうと思っているし、その新鮮な状態を、作品を見る人にも伝えたい。年齢とか職業とか、さらには男とか女とか、そういった情報に惑わされずに被写体と向き合いたいと思っています。
--確かにタイトルも《赤い革のコートを着ている》など、見たままを説明するものが多いですね。
名前をつける方法もあったんですが、名前っていうのは特定のイメージを強く与えてしまうので、そういうのを全部、一回消してしまおうと思って。先入観を持たせるような、写真以外の情報で膨らませるんじゃなく、そこに実在していたはずの人物そのものを見て欲しかったんで。
--同じモデルさんを別々のシリーズで何度か写していますが、時間を長く共有する分、新鮮さをキープするのは難しくないですか?
たしかに難しい部分はありますね。でも相手に対する思い込みを捨てて、目の前に立ってる人の映像をきっちり吸いあげてフィルムに定着させることに集中するようにしています。自分の思い込みが強ければ強いほど、被写体本人から遠ざかってしまうと思うんで。作品を見た人が、そこに「人がいる」っていう感覚を抱いて欲しいと思いますね。
--では今回出品してくださる作品を購入する人は、その見知らぬ人を自分の部屋に招き入れるってことになりますね。
そうですね。だから売れないんじゃないかって心配なんです(笑)。知らない人を家に招き入れるのは大変ですからね。これまで綿々といろんなヌード作品が撮られてますけど、顔が削除されてるものが多い。彫刻でもトルソなんかそうですよね。名前と同じように顔は人を特定する。そういう人格みたいなものを受け入れるっていうのは、作品を買う人にとっては難しいのかなっても思いますしね。それで今回は後ろ姿とか顔のない写真もちょっと混ぜてみたんですけど(笑)。投票結果が楽しみですね。

後半:写真を撮るということ