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「in my room 6x6」シリーズによせて

 写真集『IN MY ROOM』に収めた作品は、ほとんどが大型のカメラで撮影したものだった。

 大型カメラは文字通り大きなカメラで、手持ちの撮影はまず不可能。
三脚に固定し黒布をかぶってピントを合わせてからさらにいくつか操作が必要で、シャッターを切るまでには、およそ10秒かかる。困るのはその間、ファインダーで画面を確認できないことだ。

 これだけズレがあると、目の前にいる人のこまかな息づかいを写すのは難しい。かわりに根っこにある太い呼吸を撮ることになる。いろいろやってみて結局求めていたのはそこだったから怪我の功名ともいえるのだが、撮影の過程でこの10秒のタイムラグがとても気になっていたことは事実だ。

 撮影はセッションのようなものだから、こういうリズムだとなかなか二人の息が合わない。
息が合わないと被写体となってくれる人の安定した良い呼吸に辿り着けなかったりする。
そこである時から、リズムを掴むまでは身軽に扱える中型の6x6判カメラで撮影をするようになった。絵画で言えばデッサンのようなものだろうか。

 写真集を編むときにはほとんどチェックを入れなかったこれらの写真を見返す気になったのは、シリーズの終了からおよそ2年がたち、冷静に振り返る余裕ができたからだ。写真集が完売してしまったこともひとつのきっかけとなった。

 改めてすべてのコマを見返してみて、下絵のようにも考えていたこれらの写真に別の何かがが写っていることに気付いた。大型で撮影したものよりほんの少し情緒的なのだ。それはあのころは頑に拒んでいたものだった。

 僕は今も情緒的な写真を好まない。だが、好むと好まざるとにかかわらず、写ってしまったものを一度は受け入れてみる必要もあるのではなかろうか。なぜだか今はそんなふうに考えている。

2006年8月8日
鷹野 隆大