2006年02月15日

ncaプライベート・ギャラリーツアー・レポート

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春らしく晴れあがった2月11日(土)、タグボートはncaの協力のもと、プライベート・ギャラリーツアーを行いました。ncaの「Identity」展は、かなりエッジな展覧会。タグボートはあえてこの展覧会をギャラリーツアーの行く先として取り上げたのですが、果たして参加者の皆さまの反応は?! 「アート作品と自分自身との対話を楽しんでいただければ!」、その一心のツアーだったのですが、果たして…! ツアーの様子をレポートいたします。


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13:15、JR新橋駅銀座口前にて。

この日は天気もよく、皆さん元気に集合。
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ギャラリー到着。
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早速のフリータイム。 「どう見たらいいのかしら…」、いきなりの衝撃的な作品の洪水に戸惑う方も。


ncaディレクター、竹田仁氏登場
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参加者やタグボートスタッフからの質問に、非常に真摯にかつ、ざっくばらんに語ってくださいました。展覧会や作品のことは勿論、普段知ることのないアートディレクターというお仕事のことから作品への思いへと、熱い話が展開されます。
ここでは、その時の参加者の質疑応答の様子一部をご紹介いたします。


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まずはご挨拶。竹田氏、少し緊張気味?!



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参加者から鋭い質問が飛びます。


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Andres Serrano
「Objects of Desire: Colt D.A 45」

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展示してない作品も1点1点見せてくれます。


―「Identity」展にかける個人的思いいれはありますか。

3年前から始めた「Identity」展はもともと僕の個人的な思い出のある展覧会で、それぞれの作品にはその時購入した思い出や記憶があります。初めて購入したのはバーゼルのアートフェアでした。3日の間、寝ずに考えて、購入を決断したことは今でも鮮やかに覚えています。その作品は売れたのですが、同時にそのことは悲しくもあって。今でも自分が仕入れた作品が売れるということは、嬉しいことでもあるのですが悲しくもあります。娘を嫁に出すみたいな。「Identity」展はその時その時に響いて集めてきた作品の展覧会なので、僕の今までのライフワークがでているというかんじです。

―個性的な作品を集めた展覧会ですが、非常に良く考えられた効果的な展示だと思います。どこを工夫をされましたか?

今回の出品作品は、それぞれが主役をはれる、いわば4番バッターばかりなんです。当然強い主張を持っているので、作品同士が争わないように気をつかいました。ちょっとでもズレると駄目なんです。例えばSerranoの銃口の作品をこの壁に展示すると、銃口がOostの「Black Widow」を狙っているような形になり別の意味が生じてしまいます。
他人のidentityを発表するのは大変なことですよ。

他の所蔵品も見せてくださる竹田氏。しかし、皆さん首をひねります。それもそのはず。描かれているのは無数の人間の声帯。
―あの~、これはちょっと…、きついですね。

そうですね。現代アートは制約がないので、時にはえぐいものや「?」という作品もあります。それを無理に理解しようとしたり、響かない自分に疑問を持つ必要はありません。そういった感情も、自分は作品をどこまで受け入れられるのか、どこまでをアートとして認めることができるのか、という自分の感性や度量を問いかけることにもなるのですから。
人はそれぞれ、誰にもない自分にしか与えられていないキャラクターや才能というものがあります。同時に「短所」というのも自分にしかないかけがえのないもので、それを表現してみるととてもオリジナルなすばらしいものにもなりえるのです。目を覆いたくなるほどの嫌な作品が、もしかしたら自分自身に一番近い作品なのかもしれませんよ。

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―作品選びの基準は何ですか。他のギャラリーやマーケットに左右されることはありますか?

基準は自分の感性です。でも、アートフェアに行った時には、海外の大きなギャラリーが、個展形式で展示しているなどして力を入れている若いアーティストにも注目します。そのギャラリーのディレクターの目を信じるのです。勿論リスクもあるのですが。たとえば、そこにかかっているSerranoの、観る我々に銃口が突きつけられた、どきりとする作品。彼は当初は全く売れなかったのですが、スペインのあるギャラリーの努力があって、3年という年月をかけてブレイクし、作品が完売に至った経緯をもつ作家です。アート・マーケットというのはまず作家自身の感性があってこそですが、作家の感性を信じるギャラリストも重要な役割の一端を担っているのです。

―買い付けでのご苦労はありますか?

海外での作品の買い付けは、作家を抱えているギャラリーとの交渉がいつも大変です。大事に思う作品でありアーティストだから、一歩もひかないんですよ。僕も作品にほれ込んでいるから、必死だし。今回のOostの作品は、やっと貸してもらえたのですが、ベルギー人のギャラリストでうまく言葉も通じないし、議論になるしで大変でした。でも、人間というものは、古今東西関係なく伝えようとしていることがあるので、そうなると国って関係ないですよね。
作品を購入するときはいつも真剣です。ほら、美術館でも、ショップでは皆さん真剣に商品を選ぶじゃないですか。作品を観る時以上に真剣な顔をしている方も見かけます(笑)。それだけ「買う」という行為は真剣になるんです。もう一度そういった意識をもって作品を見ていただけると、また違った見方が出来ると思いますよ。

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ツアーを終えて
いかがでしたか?
参加者の皆さまにツアーの感想を聞いてみました。


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きらきらした笑顔が素敵な女性です。

福井実千子さん

「銀座の秘境でしたね。なかなか行けない場所を訪問出来まして、本当にありがとうございました。買う買わないは別として興味深く拝見しました。写真は一瞬の作りこみの時間を感じさせるものと、ドキュメント性のあるものと両方好きですが、今回の展覧会では、一点一点が、何時間も語りかけてくるようでコワイものがありますね。映像作品はゆっくり見られて、良かったです」
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「現代美術が難解であると考えたことはありません。ただ、自らが作品を受け入れることができるか、というとのが唯一の判断基準です。今回のツアーで竹田氏の解説を聴き、作品がつくられた国家的・社会的・人種的背景を知ることにより、より深く作品を理解できると感じました」(Y.Sさん)

「難しかったです。単に見て好き・嫌いという感じではなく、何を意図として作品が創られたのか考えさせられましたが、答えが見つからないままでしたので」(M.Iさん)

「最初に作品を見た時と、お話を聞いてから見た時とで感じるものが違い、2度楽しめました。最初は先入観なしで見て、その後解説をしていただけたのが、よかったです。」(E.Sさん)

「知らないアーティストの作品ばかりだったので興味深く、新たな発見と経験をさせて頂きました。単純に見ただけですと、記憶も早くなくなってしまうので、本日のように作品jの色々な背景まで伺えるというのは、楽しかったです。タグボートさんのHPにてOostの画像をみていたせいか、第一印象も驚きというよりすんなり受け入れてそこに在るのが当たり前のようでした。」(S.Yさん)

「予想以上の展覧会でした。すべて4番バッターという竹田さんの言葉通り、ボリュームのある濃い展覧会でした。見終わってから心にずしんと響いてきます。今回は2時間過ごし、お話も聞けたのでパンチドランカー状態です。一作ごとに持つイメージが異なるので、感情をたくさん使った気分です。続編が楽しみです」(A.Sさん)

「人間の持つ負の側面がリアルに見せつけられた感覚。日常生活で対峙することはあるものの、早く忘れたいような思い出が呼び起こされる気がしました。だから、“不快感”があった。自分はこういうもののおかげで実はバランスをとっているのか…、と正直ショックかな」(R.Yさん)

「竹田さんのお話を伺い、作品に対する見方が変わりました」(T.Yさん)

印象に残った作品No.1!

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Jan Van Oost 「Black Widow」

「Black Widow。髪の毛が生々しく、肩の丸みや体の重さがリアルで人のようだった」(E.Sさん)

「インパクトの強さと恐怖が興味をそそります」

「『生のイメージ』を感じました。生きているからこそ悲しみは深い。これって読み違いでしょうか?」(Y.Sさん)

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懇親会 帝国ホテル本館内のティーラウンジにて
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ツアーの後、参加者とタグボートスタッフ、そしてディレクターの竹田氏とで懇親会を開きました。
女性陣はお茶、竹田氏とタグボート・アートディレクター広本はお酒が入ってゆったりいい感じ…。
今回の展覧会のことから、最近の現代アート・マーケットのことまで、アートの話は尽きません。


タグボートより一言

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参加者の皆さまと竹田氏。懇親会にて。
nca「Identity」展の作品群の主張の洪水に「ずしり」と重く何かがのしかかってくる感覚を味わった方がほとんどのようです。タグボートスタッフもこの日は頭が混乱気味。家に帰ってから作品の意味を自分なりに解釈し、思いを巡らせてみることで、頭を整理いたしました。
それにしても、ディレクターの竹田氏のお話を聞くと、展覧会という形で我々の元に届くまでには、アーティストの思いは勿論ですが、ギャラリストをはじめとする作品に関わっている様々な人の思いが詰まっているのだな、と改めて考えさせられました。タグボートも作品を皆さまにお伝えする役割をになう機関の1部です。作品のメッセージを大切にする気持ちを忘れずにいきたいものです。


最後になりますが、ツアーに参加してくださった皆さま、ありがとうございました! インターネットギャラリーという性質上、なかなかリアルに皆さまにお会いする機会がないので、このたびご一緒し、お話することができましたのは、新鮮で嬉しいことでした。
タグボートは今後も皆さまが作品とリアルに対話できるようなツアーを企画していく予定ですので、このレポートを見て興味を持った方、次の機会での参加をお待ちしております。

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>>「Identity」展概要はこちら

>>ncaディレクター・竹田仁氏「Identity」展についてのインタビューはこちら

>>nca「Identity」展 オープニングレセプション・レポートはこちら

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投稿者 TAGBOAT : 13:54

2006年02月06日

nca プライベート・ギャラリーツアー企画第2弾!

nca「Identity」展 オープニングレセプション・レポート

タグボート主催・ギャラリーツアーの開催場所、ncaの「Identity」展ってどんな展覧会? タグボートではこれまでに、開催概要やディレクターの竹田仁氏のインタビューを掲載してきましたが、一体ncaってどんなギャラリー? どんな展覧会なの? という方もいるかもしれませんね。というわけで、オープニングレセプションに出席したタグボートスタッフが「Identity」展の会場の様子をレポートいたします。オープン前からオープンしたての会場の様子まで、じっくりご覧ください。

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☆オープン2日前

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オープン2日前の1月31日、ncaにお邪魔しました。この日は展覧会出品予定のnca在庫作品に加え、海外からも彫刻作品が到着、オフィス内は作品の山、山、山! 
さぁ、これをどう展示するのか?
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まずは作品を並べてみて、全体のバランスを見ます。

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作品を書ける場所を決定。
「こっちかな」「もうちょっと右…」「こっちに置いてみてくれる?」
なかなか決まりません。
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うろうろ

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うろうろ
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うろうろ
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悩む竹田氏。設営前に、展示プランはあるものの、いざ掛けてみるとイメージしていたものと違うということは、よくあるそうです。
この後、展示作品の大部分の入れ替えが行われました。
「この分だと、設営はオープニング当日までかかってしまうかも」

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☆そして2月2日(木)・オープニング・レセプション

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ncaエントランス前。人だかりが見えます。盛況のようですね。
手前は、スタッフの高村さん。
結局オープニング日の夕方くらいまで、設営をしていたとのこと。間に合ってよかったですね。
展覧会期間中も、その日の感じによって展示内容が少しずつ変わってゆくのだとか。
その変化も楽しみです。
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ギャラリー内中央に長い黒髪の女性がうずくまっています。
これは男性作家、Jan Van Oostのインスタレーション。わかっていてもぎょっとする強い衝撃。
男性作家が女性の姿をこのように創り出すだなんて、どういった心境だったのでしょうか。
まじまじと見つめる来館者たち。
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中央を仕切る巨大なガラス板には映像インスタレーションが上映されています。
反射して天井にも写りこんでいるのがわかりますか?
ギャラリーというスペースの中にまた新たな空間世界が広がります。
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ncaギャラリー内の“隙”、バックスペース。
小さな細長い空間は不思議とリラックスでき、自分だけのプライベートスペースになります。
アーティストのカタログや冊子がおいてあるので、皆思い思いに手にとり楽しみます。
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レセプション当日はワインが振舞われます。
皆さんゆったりとした気分でアート談義に花が咲きます。
初めて会った人とも、アートを仲介にすることで繋がりが深まる瞬間です。
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作品について語るディレクターの竹田氏。
思いのつまった展覧会なだけに、熱も入ります。
展覧会のオープン、改めて、おめでとうございます!
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以上、オープニングレセプションのレポートでした。でも、作品はリアルでみて、「感じる」のが一番です。
個々の作品の写真や説明はあえて掲載いたしませんので、興味を持った方、是非実際に足を運んで作品に触れてみてはいかがでしょう?
他人の創り出した作品を見つめることは、自分を見つめることになります。
自分の感性にぴったりとあう作品との出会いがあれば、それはとても素敵なことだと思いませんか?

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ncaディレクター・竹田仁氏 インタビューはこちら


投稿者 TAGBOAT : 12:00