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松浦浩之 個展情報 Hiroyuki Matsuura meets @FORM開催

GalleryFORM
10時~19時日曜、月曜休館
住所:品川区東品川2-1-6
>>MAPはこちら
Tel:080-2010-5744
Fax:03-6909-9855

松浦浩之機能する現代アート

人類の祖先は道具を使い始めることから二足歩行を覚えたという。それゆえ発達した器官により言葉を生み出し、やがてそれを文字にした。
言葉も文字も「伝える」という機能を持つ道具である。求められ、ゆえに人が生み出す道具には必ず機能が存在する。ものづくりにたずさわる者達は企画に迷いを生じた時「求められる機能は何か?」を問い直す。なぜなら機能とは人がものを生み出す活動の根本だからである。
松浦浩之は「機能の定義」を自らの作品に課す稀有なアーティストである。彼の創造に対するモチベーションを聞いたときに私はそう感じた。
言葉や文字は道具として生まれ、やがてそれらが歌や詩へと形を変える。これまで私は歌や詩に機能定義することは野暮なことで、芸術とはそもそも機能という言葉と全く関わりのない世界に存在するものだと無意識に決めていた。しかし松浦から聞いた以下の言葉がこの考えを変えた。

「今の人たちは毎日ものすごく忙しく暮らしているよね。きっと一日のなかで絵を見られる時間はなんてほんの少しだと思う。ただそんな中でも一瞬見ただけでほっとできるような絵が描きたいと思った。そんな役割を担いたいと思う」
この言葉を聞いた時、私がそれまで持ってきたアートに対する概念に新鮮な風が吹き込んできた。結果として浮かんだ松浦の活動を紹介する言葉が「機能する現代アート」というタイトルである。
「プロダクトデザインという、人との関わりから生まれる仕事を経験してきた僕としては、絵を生業にしようと決めたときから、観る人の気持を考えていた。アートとは、アーティストが自分の気持ちを消化させるためのものばかりでないと思う。僕は観る人が心地よくなるためのもの、あるいはその人の生活をほんの少しでも潤すためのものを作りたい。人とのつながりを求めるからこそ、存在する意味やそれを売る意味も出てくるのだと思う」

松浦の言葉は、わかろうとすると余計わからなくなってしまいがちな現代アートの存在を、実に理解し易く説明している。
松浦の絵は、その色彩と大胆な構図ゆえ人の注意をひきつける力が強い。アートフェアやグループ展のように多くの作品に混ざっても、その存在が埋没することはない。その力強さが松浦の作品をモダンかつスタイリッシュに見せる要因であり、現代のインテリアにもマッチするゆえんでもある。
しかし、それがゆえに作者の意図する「ほっとする安らぎを与える機能」に、最初から気付く人は少ないのではなかろうか?実は私もその一人である。しかし一度それを部屋に招き入れると印象ががらりと変わる。疲れはてて帰った家に飾られる彼の絵は、私に安らぎを与えてくれる。にこりと笑う余裕が生まれてくる。あたかもそれは愛犬が私の帰りを温かく迎えてくれたときのような優しさを持っている。

政治や歴史を刻む機能を持つアートや、人間の本質を示唆するアートの存在も否定しない。アーティストの魂を傾けた活動が説明不要の感動を与えることもあるだろう。25年前多くの絵を見、自らも絵を描いていた当時の私にとってそれらは刺激的だった。
ビジネスの世界にどっぷりと漬かり、Eメールと携帯電話と出張でひどく忙しい時間を過ごす今の私にとっては、そのいずれの要素も持たないながら、とびきりの癒す機能を持つ松浦の作品が必要なのである。
そしてそういう人たちはきっと、世界中に多く存在することであろう。

@FORM 代表山下健介


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2008年10月20日 20:37