TOUNG ARTISTS JAPAN VOL.2イベントレポート C-DEPOT 展示風景

「YOUNGARTISTSJAPANvol.2」へは、今年の夏に青山のスパイラルで開催した「C-DEPOT2009」にて、徳光さんにお会いしたご縁がきっかけて出展することになりました。
C-DEPOTは、絵画、立体、伝統工芸、映像、メディアアートなど、様々なジャンルのアーティストによって構成されている集団です。今回は約30名のメンバーが参加することになったので、私たちはまず数で勝負しようというコンセプトを立てました。そして「C-DEPOTsquare」と銘打ち、全てのサイズを25×25cmに固定した作品を、壁面に100点を飾るというチャレンジに踏み切りました。C-DEPOTにとって、こういったアートイベントに参加することは始めてのことでしたが、とても有意義でした。

イベントを通じて感じたことは、ひとつには、出展するための手続きが良い意味で「面倒」なことです。出展者は、まずインターネット環境を有していなければならず、出展する作品は事前にオンライン登録しなければなりません。そして作品は販売することが前提となるので、否が応でも作品の適正価格を考え、売れた時の接客についての心構えを求められます。 半端な意識の持ち主はふるいから落とされ、ひと手間を惜しまず食らいつく気概のある者のみ、出展の権利を勝ち取ることができる訳です。このハードルの高さが「YOUNGARTISTSJAPAN」というイベントのカラーを浮かび上がらせている、という印象を強く受けました。

もうひとつの感想としましては、「アーティストとギャラリーの架け橋になる」ことをコンセプトに掲げる、運営陣のみなさんのご尽力に、強い信念と、若手アーティストへの深い「愛」を感じたことを挙げたいと思います。本イベントには、アーティストが次のステップに進むための場を提供するために、様々な仕掛けが張り巡らされていました。気付いたことを細かく挙げると沢山あるのですが、単なる作品販売の場を越え、社会に適応できるアーティストを育てる訓練場として、私たちの創作活動に役立てることができるのではないでしょうか。
来場者の年齢層は、比較的20〜30代が多かったように感じました。
実際にアートを買う人の層はもう一回り上の世代が多いのでしょうが、近い将来を見据えれば、同世代の人々が自分達の作品にどのような反応を示すかを知ることは、大きな意味があります。「YOUNGARTISTSJAPAN」はまだ二回目と歴史が浅いアートイベントですが、まだまだ有機的に変化しそうな振り幅を感じました。今後若手の登竜門として今以上に認知され、人気アーティストを多く排出するイベントへと進化すれば、私たちを取り巻くアートの環境は今よりもっと面白くなると思いますし、そうなることを期待せずにはいられません。
出展を経て、アーティスト自身が自己を発信し、プロデュースすることについて改めて考える貴重な機会となりました。
C-DEPOTとしましても本展で得た収穫を活かし、来年開催する「C-DEPOT2010」への足がかりとしたい、と気持ちを新たにしているところです。

C-DEPOT代表 金丸悠児


■ 杉山治 ■ 桜井美奈子 ■ 末宗美香子 ■ 山本理

単純化した描かれた愛らしい少女や動物をモチーフとし、誰もが観てただ「カワイイ」と思える作品を作り続けている杉山治。 16bitを彷彿とさせる、ユニークな表現手法で「りんごのキャラクター」を描いています。

日本特有の運動会の一場面を、ノスタルジックにそしてシュールに描く桜井美奈子。本作品は紅白の運動着を着たこどもが、地面を堺に対称に描かれており、記憶と現実が交錯する不思議な世界を演出しています。

人間のような動物のような、異世界の住人を描く末宗美香子。独特の色彩感覚と、ポエティックな作品タイトルで見る人を楽しく幸せな気持ちへと誘います。

紙を素材とした切り絵を制作する、山本理子。人間の根源的な精神性をバースに、動物というフィルターを介し独自の物語を紡ぎ出しています。卓越した切り絵技術によって絵具では表現できない、シャープなラインと質感を生み出しています。


[information]
「EXHIBITION C-DEPOT 2010」
会期:2010年8月6日(金)〜11(水)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館&象の鼻テラス
websitehttp://www.c-depot.org/