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自分の作品を実空間で発表する

  佐々木 睦

佐々木 睦

私にとって創作活動とは、先人や同時代を生きる人々の思索や労力、そして人知を超えた自然の威力によって創り上げられたこの世界に生ける一人の人間として、自らの周囲に存在するあらゆる事象を、自分の美意識で解釈し、表現し直すことだと考えています。


それは密やかに綴る日記ではなく、世の中の人々へ認める手紙であり、創作した作品は何らかの形で発表していくべきとの想いがあります。賞を頂戴した作品は、夜間の都市風景のおける物理的な光と闇を、主に建築物のファザードや公共空間に探し、抽象的かつミニマルに表現を探求するシリーズの中の一作品です。


光と闇を出来る限り単純化して捉え、両者による造形や各々の特性を捉えるとともに、それらの中間に存る不可分な領域の存在理由と意義を見出すこと、さらにはそれをきっかけに、比喩的、心理的に不可視あるいは不可分な領域に注目していくこと、それが主題です。


自分の作品を実空間で発表するという経験が乏しい私にとって、TNGSで企画されるイベントに参加できることは、大変有り難いことです。様々な作家の作品が集う空間に、自分の作品が混じることで、通常とは違った距離感で自作と向き合い、作品の訴求力やクオリティなどについて改めて考えさせられるという、刺激的な体験はとても得難いものです。日頃、自分の表現手法や能力について、迷いや不安に駆られることが怏々としてあります。迷いや不安は自分なりの表現を模索するための、原動力の一つであると考えます。


今後も多くの迷いや不安の中で自らの表現力を高め、様々な形で伝えていくことを継続していきたいと思っています。