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トップページ  >  鷹野隆大x@GALLERY TAGBOAT 笠原美智子氏が語る鷹野隆大

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笠原美智子氏(東京都写真美術館事業企画課長)が語る鷹野隆大

ジェンダーをテーマとした国内外の数多くの展覧会を手掛けている笠原美智子さんは、木村伊兵衛写真賞受賞作『In My Room』(蒼穹舎/2005)への寄稿や、お茶の水女子大学にて鷹野隆大氏と対談(2006年7月8日)をなさったことがあり、鷹野隆大の制作活動を良く知る一人です。笠原さんに鷹野隆大の作品世界について語っていただきました。インタビュアー:タグボートアートディレクター 広本伸幸
--(『In My Room』を取り出し)この写真集、もうSOLD OUTだそうですね。
 そうなんです。限定版でしたから。
 女性の身体と異なり、長い間肉体の理想美としてのみとらえられ、被写体とはならなかった普通の男性の身体を、男性自身が撮っている、という事実が衝撃的でしたね。今まで日本では、セクシャリティを正面から扱う作家はいなかったので。
--メイプルソープなど今までのメール・ヌードと比べて、鷹野隆大さんの作品が違う点はどこにあるのでしょうか。
 メイプルソープは、70年代から80年代にかけてのゲイを含むセクシャリティの問題を正面から扱い、セックス自体を視覚化してファインアーツとして世間に認めさせたという点が、非常に画期的なことでした。メイプルソープが厳格なカトリックの出ということもあるので、彼の作品には、自分自身や、対両親、あるいは時代のしがらみに向かった、ある種後ろめたさや露悪的なところがありますね。自分自身を特別な対象として扱っているというような。
 それに対して鷹野隆大さんの作品には、そういった構えたところがない。まるで偏見がないんですね。ヘテロだとか、ゲイだとか、バイセクシャルだとか、そういった事実が特別なことではなく、普通のこととして表現されている点が大きな違いですね。メイプルソープは、男性の身体の美しさに市民権をもたらしたのですが、鷹野隆大さんはそれほど整っているわけではない、ありのままの男性の身体を撮っていて、それこそがそのものの姿であり、美しい、と言っている。まったく逆のやり方なんですね。

(2006年9月13日 東京都写真美術館にて)

『In My Room』(蒼穹舎/2005)より抜粋

鷹野隆大が写すのは、モデルやアスリートのような際立ったプロポーションでもなく鍛えられた身体でもない、どこにでもいる普通の男の裸体である。名前をもち、個性豊かな、ひけらかすこともなく恥じることもない、1人の男の像である。モデルやアスリートの身体よりも、日常生活ではずっと見慣れているはずの、そうした普通の男の裸体が、かくも衝撃的であるのはなぜか。(笠原美智子)

笠原美智子氏プロフィール

1989年より東京都写真美術館、2002年より東京都現代美術館、2005年からはふたたび東京都写真美術館(http://www.syabi.com/)にて事業企画課長として活躍。「手探りのキッス――日本の現代写真」展(2001年)、「愛、孤独、そして笑い」展(2005年)といったジェンダーをテーマとした数々の展覧会、また『ヌードのポリティクス』(筑摩書房)、『写真、時代に抗するもの』(青弓社)といった著作を通じ、写真の領域におけるジェンダーの現れについて考察し続ける。第51回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館コミッショナーとして石内都の個展「mother’s 2000〜2005 ―未来の刻印」を企画。現在、2007年ブルックリン美術館「グローバル・フェミニズム」展の調査協力他、キュレーターとして多数の企画を構想中。