三杉レンジさま

三杉レンジ

プロの絵描きを志す

絵画教室LUKA NOSEを主宰する画家、三杉レンジ氏は絵画好きな両親の影響もあり、幼少のころから絵が大好きな少年で、小学生の頃には、少年マンガの模写に飽きてしまい、ついには「少女マンガ大百科」を買ってきて昼夜を問わず模写していたため、心配した両親に絵を隠されたこともあったという。

 

 多摩美術大学の油画科を卒業した後は、岡崎乾二郎氏らが講師を務めていた「Bゼミ(現代美術学校)」に通いつつ、高尾の山奥にある倉庫を借り、美大卒業生10人を誘ってアトリエとして使っていた。絵描きとして食べて行こうと意気揚々としていた時期である。

しかしながら、バイト代をつぎ込んで銀座の貸し画廊で展覧会を開いても、来てくれるのは友人だけであり、次のキャリアにつながることは何もなかった。

その後は何とか食べていくために、昼は制作、夜はカラオケパブのウエイターといった時代が続いた。

26歳の時に、知人の紹介でグラフィック・デザイナーの則武弥氏のアシスタントとして、デザイン事務所(有限会社paperback)に勤務し、デザインの基礎を学ぶ。

その後、28歳のときには広告代理店に入社し、ディレクターとして様々なイベントなどを企画するようになったが、仕事に追われ作品制作の時間などはまったくなかったという。

多くの人にアートの面白さを伝えたい

 30歳を過ぎ、「収入や安定よりも、やはり絵に関わっていたい。」と中高の非常勤美術講師に転職。絵画について教え、学べる環境と、美術の授業に目を輝かせて取り組む中高生たちの笑顔にやりがいを感じ、その後もアートを教える仕事を続けることとなる。

そして、制作活動を行いながら美術教師としての仕事も軌道に乗ってきたころ、たまたま近所にあったタレントのちはるさんが経営しているカフェ(CHUM APARTMENT 目黒)で、様々な教室が開催されていることを知り、すぐに「絵画教室をさせてもらえませんか?」と企画を持ち込んだ。

思いついたらやってみる、三杉氏ならではの行動力である。

 ここから、三杉レンジ氏が一般の人に現代アートの面白さを理解してもらおうとするチャレンジにつながっていく。

(CHUM APARTMENTでは月に1回のみのワークショップ形式であったが、現在は目黒区(最寄駅は不動前駅)のアトリエにて毎週、木、土、日の講座を開催。また昨年より池袋西武コミュニティカレッジ内にて、ルカノーズの姉妹講座を隔週日曜日に開催している。)

 

 三杉氏が主宰する絵画教室「LUKA NOSE」は単に描く技術を学ぶ場ではない。

 

アートの歴史、それぞれの時代の思考といった「現在に至るまでの文脈」を理解しつつ、「現代アート」の意味合いについても自然に学ぶことができる。このような絵画教室は全国的にも少ないであろう。

実際に、中学高校の美術の授業で、美術史(特に1900年以降)についてきちんと教える教師があまりにも少ないため、現在に続くアートの流れを十分に理解できていない美大生が多いのは現在の日本の美術教育の問題でもある。

アートの輪を広げていく

 「美術教育に携わるようになって、いかに日本の美術教育が五月雨式に、脈絡なく行われているかに気づきました。–アートは連載継続中の1つの長い物語—ということを理解することからスタートすべきだと思います。そうすれば現代アート作品がヘンテコで意味不明なものから、ドキドキしながら読み解く人格のようなもの?に変わっていきます。」と三杉氏は語る。

また社会人となってから絵を習い始めた人の殆どは、趣味の延長に終始してしまっている。(それが悪いワケではないのだが、)その中で、少しでも作品を「販売する」レベルに達するまでのプロ志向の人を増やしていくことが、日本のアート(マーケット)をもっと活性化することにも繋がっていく。

 「一流美大を出ても、日々の仕事に忙殺され、制作を続けられない人が大半の世の中で、まったくアートをやっていなかった社会人がアートに目覚め、趣味の枠を超えた作品ができるという面白い実績を一つ一つ作っていきたい。

 また、世界から見た、日本のアート界は離れ小島的存在なのはひしひしと感じます。(偉そうなことが言える立場でもありませんが、)だからこそ様々な人や組織が、それぞれの方法で、知恵を出し合いながら、お互いを高め、地道に世界に向かっていくことがマーケットを盛り上げることに繋がると思います。そしてLUKA NOSEという小さな絵画教室もその一助となればと、、。」

 

 三杉レンジ氏は紆余曲折を経て、現在はLUKA NOSEを運営しながら、大きな視点で日本のアートの新しい地盤作りを日々模索している。

まゆげ死す

まゆげ死す
2006年 キャンバスにアクリル 18×14cm

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