吉澤美香の絵を見て、速度感というものを感じない人はいないと思う。平面の上に絵の具が乗せられたり、ふき取られたりするスピードがあまりに速く、絵の具が染み込む時間さえ与えられなかったかのように。そこに残された形は、存在感と非存在感がくるくると入れ替わりながら立ち上がってくる。
版画制作は、1993年、双ギャラリーさんが版元となって、大、中サイズの銅版画を制作し、その折りに、小サイズの銅版画集「ヘ70~ヘ77」をエディション・ワークスが出版した。版の上でも、その気持ちのよい速度は保たれている。
エディション・ワークス