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ボルチモアの美大卒業後、ニューヨークに出てクーパー・ユニオンで学んだバチェラーの作品は、子供が描いた下手くそな絵としか見えない。
それもそのはず実際に子供の絵を模写し、そのスケッチをもとに制作されるのだ。
ほかにもトイレの落書き、精神病患者の絵、古いコミック、中華料理店の紙ナプキンなど、自分では描けそうもない面白い形や、想像もつかないイメージを見つけてきては、スケッチして集めておく。
制作はコレクションしたスケッチの中から、慎重にいくつかを選び出して構成することから始まる。
一見無雑作に描かれたかに思われる画面は、実は念入りなイメージの選定作業とその配置に十分な時間がかけられているのだ。
たまたま出会った人に、何か絵を描いてもらい、それを材料とすることもある。
素朴なコミュニケーションとシンプルなものの持つ美、そしてさまざまな組み合わせ。
彼の作品が評論家たちからトゥオンブリ、ライマン、そしてラウシェンバーグやシュヴィッタースと比較され賞賛される理由はそこにある。