鳩は世界中どこにいてもだいたい同じ感じで、あまり人に優しくされていない印象があります。蚊や犬と同じように人間の生活のすぐ近くで生きているというのに、私もしばしば空気のように扱ってしまいます。それは彼らの生活が見えづらいからでしょうか。目的なく動き回っているように見えるからでしょうか。ある日、駅のホームで一匹の鳩を目にしました。その鳩は巣作りをしているようで、線路際に生えた雑草の枯れた茎のあたりをうろうろしていました。鳩らしく何も考えないで適当に咥えて持っていくのだろうなと思ってみていると、どうやらこれぞという良い感じの茎があるようなのです。これか?これか?といろんな方向から茎を吟味して、これだ!と見つけた瞬間ものすごいスピードでその茎を咥え、思いっきり顔を振って根元から噛み切ると、巣のある場所へ飛び去りました。鳩もいろいろ考えているのだなと感心し、それから私の世界に急に鳩が加わったような気がして面白かったので、鳩が見えるようになるための絵を何枚か描きました。これはその一つ。