緻密な空想を現実世界へと移築するかのように仕上げている、星野勝之氏のデジタルイラストレーション作品です。何ごとかが起きそうな予兆とワクワクする面白さに満ちたSF的ユートピアが、彼の絵のなかで箱庭のように奥行きを広げています。彼の創作の全ては3DCGで構築されたコンピュータ内マスターを2D化したもの。テンキーを使って回転数や角度を「入力して描く」という設計感覚の描き方から、リアルなパースペクティブ感が生まれるだけでなく、ひとつのマスターから生まれる様々な角度の眺めも現像しうるという、ユニークな特性を持っています。
本作は、個展「模様区」('10年、ギャラリーエフ)で発表され、星野氏のユニークな構想にファンが瞠目した一作。3DCGでモデリングした絵を板に独自の技法で転写し、アクリル絵具と色鉛筆で手描き加筆したもの。「世界の果ての向こう側」をイメージし、ギアナ高地のような奇想地形をベースにキューブや球体を組み合わせ、彼のアートアプローチだけが生み出しうる「模様xランドスケープ」を具現化した一点物のオリジナル作品です。