この作品では、画面中央の女性を覆うように作られたブロックの内部が、一
人の人間の内なる心を表し、そのブロックの外側は、外界、つまり人が生きる
現実の世界を表しています。心の内側の世界(ブロック内部の世界)を飛び交
う小さな丸い光は、この人の中に存在する、小さな想いです。このように、人
が自らの心の中で想う小さな想いは、例えそれが自分の心の中であっても具体
的な形は描けず、大きな力は、持てません。しかしその一方で、人が心の中で
強く願い想う力は、具体的な形を伴い自らの心の世界に現れます。画面中央の
大きな樹は、心の中に描いた強い想いが形として現れたものです。強い想いは、
それが、強ければ強いほど、より具体的な形として人の心の中に現れ、(この絵
の場合、画面中央の樹という形となり)やがては、自分の心の中を飛び超えて、
現実の世界にも影響を与え始める。絵の中のブロックから左右に伸びた光は、
一人の人間が内に秘めた強き想いが、外の世界にも影響を与え始めている瞬間です。