森羅万象からのインスピレーション、生命の息吹を存分に吹き込んだ絵画や木彫立体、パッチワークなどの作品を発表している、しょうじこずえ氏。西洋美術のシュルレアリスムも南国のスピリチュアルアートも合わせて飲み込んだかのような物語性豊かな構想リソース、パッション溢れる表現に各方面から注目が集まっています。彼女の手から日夜生み出される様々な生命たちは、激しくディフォルメされた「眼力」が特徴的。それらのクリーチャーたちは彼女自身の生命観を鮮烈な眼差しで観る者に説き続けており、彼女の世界にのめり込み平面、立体を問わずコレクションする”コズラー”の増殖につながっています。
本作は、彼女が大好きな生き物たちを布や刺繍で表現した「布絵」シリーズからの一作。布に貼り絵や刺繍などを細かく施し、木パネルに張り込んだ見ごたえのある絵肌が楽しいコラージュです。モチーフになっているのは、彼女に絵を描くきっかけを与えてくれたという亡き愛猫の「クロ」。クロへ会いにいけない自分の変わりに、身近な生き物たちが赤い結界を越えてクロへ会いに行くという世界を表現しています。赤い結界は、魔除けを意味するアイヌ文様の一部からインスピレーションを受けたものといいます。2018年の個展「うぶごえ」(仙台市・晩翠画廊)で展示され好評を博しました。