私の作品は共通して奥にミラーが設置してあり、鑑賞者や周囲の環境が映り込むことによって、描画したものが現実世界と溶け込むイメージを持って制作している。いつもはギャラリーのような特殊な空間(ホワイトキューブ)で展示しているが、今回思い切って作品と一緒に外に出てみることにした。梅雨間近の山々をカメラマンと彷徨い、重い作品を担ぎ、森に置いた。すると作品に、木々や空を移動する雲が映り込みんだ。線描と写り込んだ映像とを視点が行き来した時、作品制作時に私が思い描いていた光景が見えた。
photo by Shiomi Kitaura