デジタルとアナログ両方の画材を使って描き貯めているドローイング未満の落書きや撮り貯めたスナップ写真をサイアノタイプという古い現像技法を使って薄く透過性のある和紙に印画する。それらはコラージュのためのマテリアルとして日常的に蓄積されていく。サイアノタイプというアナログな技法を通過させるこでと、写真、絵、文字、データ全ては薄い和紙に定着した青い像として等価に扱うことが出来る。
それらを貼り合わせたり、トリミングしたり、切り抜いたり、感覚的な操作を繰り返していく事で、個々のイメージの断片は一つの塊になっていくのだが、ある瞬間、それらが一つの自立した構造として立ち上がることがある。”イメージの断片”から”一つの自立した構造”の間には自分でも予想が出来ない大きなジャンプがあるのだが、ジャンプした先にあるものは自分が暮らしの中で認知する社会や世界の構造の論理とは別の仕組みによって成立している。それに名前を付けて、自分の作品として公の場所に紐づけていく作業が、今の自分にとって制作と言えるかもしれない。