岡山県津山市にある日本庭園、衆楽園の「八橋」がモチーフの作品です。八橋は、西暦900年頃に成立したとされる「伊勢物語」の中の、東下り・三河の場面が由来ですが、文中に、八橋という名の木橋は登場しません。
絵巻物から絵巻物へ、そして着物や硯箱、屏風、庭園、そしてお菓子の八ツ橋まで、 長い間受け継がれていく中で、「杜若」あるいは「斜めに連なる木橋」を八橋と呼ぶことで、歌枕のように形式化、記号化されていく点に着目した作品です。室町時代後期の絵巻物や安土桃山時代の着物の柄などを引用しながら、繰り返される模様が作られています。