文字を線行から空間へと解放し、絵の具を用いて視覚的、即物的に言葉を織っていきました。このシリーズの作品では、発音や偏と旁などの構造や意味に注目して文字を選択し、一次元的なテクストの流れから多次元的な結びつきをもつ言語空間を生み出すことを意図しています。タイトルの「texere」という言葉はラテン語で「織る、編む」を意味し、「text」「textile」「texture」といった言葉の語源でもあります。シルバーペイントで描いた文字は、絵の具の凹凸から生まれる影や光の反射によって浮かび上がり、鑑賞者の立ち位置によって文字の表情は変化します。形と意味、言葉と物質、見ることと読むことの間にある相互的な関係を探求しました。使用文字は「糸」「方」。