日常の情報を“正しい”と言えるだろうか?“情報の捏造”をコンセプトに、レシートで架空のポートレートを制作した。プライベート情報でもあるレシートは私たちの多様な暮らしを覗かせている。日本全国から集めたレシートを解体し、その情報から浮かび上がった、不鮮明なポートレートは、アノニマスな存在であることを物語る。私にとってこのフィクション化する行為は、世に自身のアバターを生成させる行為である。また、一緒に設置されたキャプションも作品の一部である。記載された金額は使われたレシートの総額であり、販売価格ではない。本来なら赤丸シールは売約済みの証であるが、展示では金額を隠すだけの機能に過ぎない。私たちはどれだけ、アート産業で見慣れている様式やシステムを疑い、純粋に作品を観ることが出来るだろうか。
情報の真偽が曖昧である社会に、レシートで構成された作品とキャプションの相互関係を反映しながら、現代のリアリティを問いかけたい。