絵を描くことは物をどう見ているのかと探り続けること、として、その過程で見出した新しい眼球の使い方を絵の作り方に応用/翻訳してみる。絵の作り方は所作や判断のレイヤーの積み重ねだと解釈すれば、一つ一つの配列を並び替えたり、反復させれば、新しい絵への可能性が開くはず。
薔薇の蔦が絡まった金網とそれ越しに見える風景からインスピレーションを得て制作した。マスキングの技法を使って、作者が絵具を乗せた順番と鑑賞者から見える絵具の重なりの順番を反転させている。肉眼が現実空間を捉えている時の認識の複雑さに、作品の構造を少しでも近づけようと試みている。