ホリグチシンゴ
Shingo HORIGUCHI
ホリグチシンゴは関西を代表する進学校の東大寺学園卒業というずば抜けた頭脳を持ち、今年多摩美術大学の大学院を卒業したばかりの期待の新人だ。
彼の作る抽象的ではあるが物質としての温かみを感じる絵画には秘密がある。 それは制作手順の中にある意外な行程だ。
作品制作の初期段階では、まず厚紙で作ったブロックやドローイングを描いた布などを組み合わせて構成した建物や街の模型を創りだす。
次にそれらを撮影した写真の基本データを一旦パソコンに取り込み、そのパソコンに描かれた無機質な姿をキャンバスや紙の上に移動させその上に着色して絵画として描いている。
写真に撮られた立体はパソコン上ではデータとして描かれたイメージでしかなく、これを彼自身が再度線や色を加えることで再び手触り感のある物体としてよみがえってくるのだ。
厚紙で作ったブロックの模型を見て、それをそのままキャンバス上に表現するのではなく、あえて写真撮りとパソコンとを経由することで無機質な表層のデータだけを抜き取り、そこから通常ではありえないような空想の世界観を創りだすのだ。
そこには彼自身も予想できないことが作品として創造されるのだという。
秀才が創りだす独特の世界観は常人の考える域を超え、新しい空間を演出することができるのだ。 ホリグチシンゴ・ワールドは我々がこれまで見たことのない新しい建物や街を無数に創りだし、よい意味で我々の想像を常に裏切り続けてくれるだろう。
今後の活躍と評価に大いに期待していただきたい。