日本の美術館での展示で思い起こされるのは、1993年、世田谷美術館の「パラレル・ヴィジョン」です。この展覧会は、アウトサイダーアートと呼ばれる、精神的に障害を持つ作家などによる作品を集めた、非常に興味深い展覧会でした。バチュラーは表現方法において、この分野と関連があるとも考えられますが、バチュラー自身は心身共に健常者であり、その制作姿勢は、とても冷静、緻密です。「子供の落書きのような」と、評される表現は、今の日本の若い現代美術作家の表現方法へとつながっているようでありながら、その立っている足もとは、ずいぶん遠くにあるように思われます。
エディション・ワークス