清水智裕
Tomohiro Shimizu
2008年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、'08~'10年まで「ワンダーシード」にて連続入選し注目を集めた清水智裕。
シンガポールや香港での展示参加も経験し、ここ最近大きく期待できる作家の一人である。
淡く物憂い彩色で、物語の一場面のように細かく描き込まれた風景。曇天のなかを飛行機が滑空したり、原野でクマが立ち上がったり、満天の星空が湯船を覆ったり、と清水智裕氏の絵筆はリアルなエピソードと奇想世界との間に広がる曖昧な宇宙を、まるで永遠に残そうとするかのように黙々とキャンバスへ展開している。
画面に必ず登場するのは、髪を左右に編み込んだ丸顔の少女たち。ときにアニメのヒロインのような軽さを、またある時は古い家族写真に似た重さを伴った存在感で、絵のビジョンの奥深くへと私たちの心を誘う。
緩急の豊かな画面構成力に、版画やアニメのセル画を連想させるタッチもあえて混在させる、カジュアルな印象の筆致がミックス。
それが全て油彩で表現される新鮮な魅力は、近年、国内外の個展やアートフェア、グループ展で熱心なファンを獲得するようになった。
今も飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げている。
従い、熱烈な支持を受けており、市場における評価も高い。
お気に入りの作品が見つかったならば絶対に買っておくべき作家である。