渡辺佑基
Yuuki Watanabe
2015年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻 卒業
2017年 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース 修了
2021年 武蔵野美術大学大学院博士後期課程 修了
シェイプド・キャンバスなども用いながら、主にパネルに、アクリル絵具や油絵具などで絵画を中心に制作している。
渡辺佑基は、芸大を目指して高校生の頃から予備校に通い何年か浪人も重ねたのだが、受験美術の訓練を続ける毎日の中で肉体的にも精神的にもボロボロになり、もう絵すら描けない状態に陥った時期があった。そうした中、自分なりのアプローチで美術そのものについて向き合ってみたいと考えるようになり、リハビリも兼ねながら受験の世界から離れて自分の描きたい絵を描き始めたのだ。
枠にはまらない渡辺佑基の想像力は、この頃の作品を土台にしてたくましく鍛えあげられてきた。
扱われるモチーフは誰もが目にしたことのあるようなものばかりだが、それを作品として切り出す視点は隙をつくような鋭さがある。余計なものを省いて浮き上がった写実的なモチーフ表現に対し、その輪郭線で切り取られた空間には無機質さが漂っている。立体的に形成された木材パネルは、平面上に創造された世界から視点を引き離し、三次元と行き来することで現実空間の認知を揺るがすのだ。
物理法則の歪みや理論の世界が繰り広げられるこの世界は、渡辺佑基の日常における視点そのものなのだろう。
第15回タグボートアワード審査員特別賞天明屋尚賞受賞、第3回宝龍芸術大賞優秀賞、第30回美浜美術展FBC賞など、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍の場を広げている。まだまだ価格が安い今のうちに、作品を買い求めてはいかがだろうか。