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菅井汲

Sugai Kumi

菅井汲

1919年兵庫県生まれ。
大阪美術学校に通った後、阪急電鉄の事業宣伝課に勤め、グラフィックデザイナーとして活動する。
その一方で、日本画家中村貞以に学び、欧米の美術にも深い関心を寄せ続け、画家としての道を志す。

1952年渡仏。象形文字ともとれるイメージを繊細なマチエールで描き上げ、たちまちパリの美術界で高い評価を得るも、60年代初頭には画風を一変させる。
超高速で駆け抜けるスポーツカーの緊張感とスピードに魅了された菅井は、その感覚をインスピレーションに明快な色彩と形態からなるダイナミックな抽象絵画に転じた。

その後、さらに単純化を推し進め、円と直線からなる幾何学的な作風を展開、晩年は、作家自身のイニシャルであると同時に、道路の連続カーブを想起させる「S」をモチーフに描き続け、同じパターンを描き続ける行為自体に芸術活動の意義を見出した。

国立近代美術館の大壁画をはじめ、その作品は日本、フランスのみならず世界各国の美術館に収蔵されている。
2016年サザビーズ香港では1m近い大作が約1000万円で落札されるなど、国際的に揺るぎない地位を獲得している。

グラフィック的要素の強い作品はどこかレトロモダンな雰囲気を併せ持ち、現代においても新鮮に感じられる。
版画作品は、5万円以内というお手頃価格で購入できるので、アート初心者にもおすすめの一品だ。