川久保ジョイ
Yoi Kawakubo
哲学的なコンセプトで魅せる異色の作家、川久保ジョイ。
筑波大学を卒業後、デイトレーダーとして金融業界に就職後、2008年から本格的に作家活動を開始。いわゆる美大にて専門的な教育を受けてから作家になるというのが一般的な流れとしてある中で、川久保は独学でプロの作家となり成功を収めた。美的センス、先見性、思考力、表現力、意志力など作家活動に必要な全ての要素を先天的に兼ね備えていた事がこの異色の経歴からも容易に見てとれる。
2009年頃、キャリアをスタートさせた直後から数々の公募展に入賞。哲学的なコンセプトから生まれるその圧倒的に静謐な世界観はすぐさま高い注目を集め、多くのレジデンスにも参加するきっかけとなり、更なる活躍を遂げる。
たった数年でここまでの活躍をするというのはまずできる事ではないが、川久保の中に存在する熟考を繰り返した結果の一貫した思想が、作品に説得力と美的価値を与え、高い評価を得たでのある。
2011年にはトーキョーワンダーウォール入選、2014年には若手作家の登竜門と言える公募展VOCAで大原美術館賞受賞などその勢いは留まる事を知らず、その他shiseido art eggなど多くの場でも注目が集まり、一気に将来が強く期待される人気作家への仲間入りを果たした。
言葉での説明がいらない程の説得力を持った美しい世界観が川久保の写真作品の特徴だが、作家として新たな境地を迎えた今、それに応じて作品のスタイルも写真からよりコンセプチュアルなインスタレーションなどに変化しつつある。つまり、作品として恒久的に置いておく事ができない作品へと変わっているのだ。
作家として熟す事で作品が変化していく流れを見られるのも楽しみの1つだが、それ以上に作品の美しさや価値をコレクションする事がコレクター冥利に尽きると言える。
初期作品としての付加価値もさる事ながら制作数が減ってきている写真作品は、今後の活躍に応じてますます価値を高める可能性を秘めている。
美しい作品の鑑賞を毎日楽しみながら作品価値を温めたい人に、川久保の写真作品はまさにオススメである。