“女の子らしい作風”と評されることがある。しかしそれは森裕子の創作の単なる一部にすぎない。
描いてあるものをよく見てみると、かさなり、離れ、反転し、浮いたり、逆さまになったり、それでいて遠近感が無く・・・正に夢の中そのものである。
夢の世界では、現実世界の色々な制約は存在しない。 森はその自由な夢の様な何かを、わざわざ四角いキャンバスという限定した平面で表現することに拘る。
彼女の作品と対面した時、見る者の思考も試されることとなる。“二次元の中で自由に飛び立てるのか―”を。
キャンバス中に流れ落ちる絵の具は、想像力や希望や日々の想いなどが溢れ出しているかのようで、隅々まで過剰に、とことん優しく、そして幸せ感に満ちている。
それは森自身の心の中を覗き見たようで、生々しく、少しエロチックでもあるといえる。