大谷太郎
Ohtani Taro
春草絵未
展覧会について
タイトルとした短歌『ただいまと地平の影へもぐりこむ線を結んで空のそのさき』は、春草絵未が、日常と創作の日々を詠ったものである。
「自分たちが見ている世界のほかに、視点をずらすと別の世界がいくつもある」と春草は感じている。
春草は下町で生まれ暮らしているが、その界隈と比べると都心の高層ビル群などは同じ東京都内なのに違う世界のようだ。
現実と並行する別の時空をそれぞれ丁寧に描線で結んでいくことで『空のそのさき』へ繋がっていける。それは、何でもない普通の日常と思索の創作の日々の積み重ねが作品に結実していくことでもある。
画面の白い“地”は、もちろん、ただの余白ではない。
何も無い単なるスペースではなく、東洋的な解釈の“空”でもあるだろう。
その余白、すなわち“間”とは、見る者と作品が呼吸する空間でもあり、我々の向かう方向性と観点を自由奔放に飛び立たせてくれる。
今回の展覧会は、此処ではない何処かへいける入口を示す“みちしるべ”と捉えられるだろう。そして、春草の言う「自分が風景を見るのではなく、自分が風景となって世界を見る」という自由を得るのだ。
Ohshima Fine Art/大島義之" />