『狐媚記 ホラー・ドラコニア少女小説集成』(澁澤龍彦第著/平凡社)の挿絵として描かれた作品です。嫉妬に狂った夫(左少将)の呪術によって狐の子を懐胎してしまった妻(北の方:月子)、夫は激昂しその子を殺してしまう。そしてまた夫婦の長男(星丸)も狐の化ける少女と恋に堕ち、その戯れの中で命を奪われていく。獣と人間の間で交わされる官能的で美しい狂気の世界。澁澤ワールド全開の輪廻の物語、その世界観に、鴻池の描く絵は新たな彩りを添えています。鴻池が頻繁に描く狼と脚だけ晒す少女が、ここでは狐の少女に。鉛筆の繊細なタッチで描かれたその姿は、グロテスクでありながらどこか儚く、愛しささえ見るものに与えます。※本品は、オリジナルをデジタルプリントによって再現したものに、作家本人の手で彩色を施した1点ものです。