1980年に発表された7点組の作品「Expressionist Woodcut Series」からの一枚。リキテンスタインが初めて本格的に手がけた木版画になります。20世紀初頭に興隆したドイツ表現主義の美術をモチーフにしたというこちらのシリーズでは、縁取りの黒がひときわ太いタッチで引かれ、リキテンスタインの中でも力強く男性的な印象を与えています。清々しいブルーのストライプが目にも鮮やか。また濃い緑、白といった色彩とのコントラストも綺麗です。リキテンスタインには、これより前にモネの「積みわら」「ルーアン大聖堂」を元にしたシリーズ(1969年)や、シュールリアリズム絵画を題材に制作したシリーズ(1978年)がありますが、それらに続く過去の名画をリキテンスタイン流にポップにカバーした作品となっています。