90年代のアートシーンで誰か一人を選べと言われたら、最初にダミアン・ハーストの名前が挙がるだろう。2004年には現存作家の中では最も高い年間売上高を記録したし、1997年から比較すると作品の平均的な値段は何と530%も上昇したという。羊を真っ二つにしてホルマリン漬けにした作品はあまりにも有名。絵画では「オピウム」に代表されるドット柄の作風と、もう一つがスピン・ペインティングと呼ばれる、回転するキャンバスに絵の具を滴らせてできたシリーズがあり、こちらも1994年から続くダミアン・ハーストのメインワークの一つだ。本作はその“スピン”シリーズから、エッチングの技法を使ってさらなる冒険を試みたという一枚。カラフル・ポップで可愛らしい「オピウム」とは対照的に、ダイナミックなスピード感に溢れているのが特徴。このエッジ感が何とも言えず、さっぱりとしているからインテリアにも合わせやすい。