2001年より制作を始めた「A sense of de?tach?ment」シリーズは、現代の希薄な人間関係が引き起こす疎外感とそれに伴う心理的不安を、徹底的に人間性を排除することによって浮かび上がらせています。密接に肌と肌とが触れ合っているにもかかわらず、そこには本来ヒトが必要とする連帯感は見受けられません。しかし同時に、この肉体がつくりだす醜美な非現実的光景は、理性的な日常という壁が剥がれ落ちるような幻影を映しだし、それは社会に抑圧された我々の感情を静かに刺激します。
展覧会開催に際し作家は以下のようなコメントを添えています。「今回、制作する上で特に意識したことは、精神性を切り離した肉体の存在感である。大型カメラによって厳密に写し取られた被写体は、写真という手法によって微細な銀の粒子に変換され、現実以上の物質性を帯びて印画紙上に再現される。『肉体は精神の牢獄である』というの言葉と共に黒銀の確かな重みを感じていただければと思う。」#script tag escaped#flgDispRecommend=false;#script tag escaped#