アイオーと言えば、風景や静物、あるいは泰西名画などをレインボーで塗り分けた作品で知られていますが、60年代には国際的なアヴァンギャルド・グループ、フルクサスの中核メンバーとして、ナム・ジュン・パイクやジョージ・マチューナス等と共に前衛的な活動を続けていました。
出品の作品は、虹の美しさとフルクサスの前衛性が融合した、ユニークなシルクスクリーン版画です。
1973年に制作された『きわめて通俗的な物語・版画のためのイヴェント・虹のグラス・それから靉嘔氏は虹によって酔っぱらった』シリーズの1枚で、虹色に彩色されたワイングラスと作家自らの身体を、当時開発されたばかりのカラー・コピー機を使ってイメージ化し、それをシルクスクリーン版画にしたものです。アイ・オーが、制作中に本当に酔っぱらってしまったかは判りませんが、ハレーションがかかったようなイメージは、ハプニング・アートの誕生に大きく寄与した、フルクサスの息吹を感じさせる作品です。