樹を見上げる構図のシリーズ。樹というモチーフを通じて、抽象的にもみえる静謐な空間が紡ぎ出されています。実際に樹の下に立って、ドライポイントで直接版に刻み込まれた、作者初の試みの版画作品。写実的なディテールをもちながら、樹そのものに同化していくような、作者の見ること、描くこと、感じることが一体化していくような感覚が魅力的。シート上での刷り面のバランスのとり方など、隅々まで作家のこだわりが行き渡っています。シンプル・モダンなインテリアにも、あるいは和風の部屋にもよく合いそう。透明な陽光や空気感がお部屋のなかにまで届きそうです。