器や盆栽などの静物をモチーフにして、細やかな味わいの版画作品を制作し続けている神氏。彼女の絵はほぼ全てが「謄写版」を使った版画です。ろう引きの原紙に鉄筆で文字や簡単な線画を印し、インキを滲ませて紙に刷る、いわゆるガリ版を用いた印刷技法は、現在ではほとんど使われなくなった遺産的技術ですが、神氏はその特性に美術の領域から着目して駆使し、複雑な表現の可能性を示し続けている稀少なアーティストとして知られています。
[コンセプト]
本作品は日々のドローイングから謄写版デジタル製版という神崎氏の独自技法で製版し制作。日々のドローイングでは、日記的に身の回りのものや次回作のためのものなど多数の中から選んでいます。