黒田愛里氏の人物描写は、ディフォルメやイメージ飛躍が自由自在。虚像だと分かっていても、鮮やかな色彩や色鉛筆に甘く手招きされるままディテールを目で追ううちに、その人々はリアルな印象へとみるみる変容してしまい、ショートストーリーの読後感に似たインパクトを醸します。絵筆が勢いよく滑る塗りと、ペンで立ち止まり長い時間を費す描き込みの宇宙、その両方の面白さをひとつの平面のなかで堪能できるでしょう。本作は、2018年の企画展「Animal Wonderland」(ondo gallery/台湾綠光+marute)にて展示された作品です。