暖かくなって耳元に聞き慣れた羽音が聞こえた瞬間、人はなんとも自然に「殺す」という意思を持って蚊を探します。それはあまりにも自然なことすぎて普段意識もしませんでしたが、ある日その小さな体に向けられた何人もの人間の殺意の強さにぞっとしたことがあって、それから蚊と人間の関係の可能性を考えるようになりました。私たちが蚊たちのように絶対に理解しあえないと思われる存在と良い関係を築くには、蚊にどういった行動を求めるでしょうか。彼らがもし、私たちと同じような労働をしていたとしたら。彼らなりの悩みや立ち位置があるとしたら、私たちの考えは変わってくるのでしょうか。