今ではすっかりバンクシーに押されてしまっている感のあるニック・ウォーカーだが年齢的にも上で、アーティストとしての活動もバンクシーよりもはるかに長いが、同郷のバンクシーとともに現在のようなステンシルを多用する作風でその歴史を作ってきたことで知られている。
彼の作品にはシリーズ的に主人公を登場させることが多く、その特徴はシルクスクリーン作品にも顕著に表れている。特に英国紳士のような後姿の男性はたびたび登場するが、ほとんど後姿か顔を隠していて、カラフルな背景に比べ不気味な雰囲気を持ち、見るものの心を掻き回す。
彼もまたグラフィティアーティストであるが、ほかの作家に比べ使用されるモチーフがリアルで、写真がプリントされている作品も多く、より強烈なメッセージを持っているように感じる。
バンクシーに比べあまり笑いを感じることが少ないところは、それだけ強い気持ちを抱いていることの表れであろうか。