この作品は地に足をつけていた少女が空中へ浮揚しかけている様子を描いている。
私は絵を描くとき、なにか私にとって重要な感覚や事象を描いている。
浮揚して浮遊するという事象は、私にとってとても重要だ。
この少女のように身体が無重力によって浮揚していく、または水中の中身体が浮かび上がる身体にまつわる浮遊や、
幽体離脱のように意識や魂だけが浮揚して身体から離れていくような浮遊、
さらに身体的な特徴の無い、曖昧な意識状態がまるで浮遊しているような感覚、など 浮揚・浮遊には物理的・身体的なものから感覚的で意識的な状態まで様々にある。
私にとって重要なのは、三番目に挙げた曖昧な意識状態でまるで浮遊しているような感覚だ。
それを表す手段として今作品では物理的に浮揚している様子を描いている。
私は絵を描く事でこの身体的な浮揚の特徴を描いているが、鑑賞者がこの作品を観て、もし自分がこの少女のように浮揚しかけている状態を自分に置き換えて想像してくれたのなら私の最重要と考えている意識の曖昧さが体現されると言えるのではないだろうか。
また、 子どもの頃父親が私を抱きかかえて高い高いしてくれた時の、自分の力を使わず地から浮揚したときの不可思議な感覚を伴った原体験が潜在意識から浮かび上がってきたことが小さい少女をモチーフに描いている所以である。