少女たちをメインモチーフにしながら、私たちの日常と空想の行間に横たわっている微妙な情感を丁寧な筆使いで描き続けている、菅野麻衣子氏。絵の人物たちは子どものような身体バランスを持ちますが、それらは菅野氏自身の分身のようであり、老若男女問わず共感できる一人芝居を演じて魅了するように見るものの心へ入り込んでいきます。
本作は、菅野麻衣子氏の鉛筆画です。繊細な筆致が生む豊かなモノクロのトーンと、少しシュールな少女イメージが絶妙のバランスに。色の制約された世界でありながら、画法の面白さを引き立たせつつ、カラフルなアクリル画と同質の美に輝いています。2020年3月から4月にかけて感じたことがテーマになった作品。